本日、試験結果が届く。苦労していた最後の科目が合格。トータル4年、ブランク1年半を除いても2年半の長きにわたる戦いにようやく終止符が打たれる。試験自体には楽しく向き合っていたが、人生について深く悩んでいた時期とぴったり重なる挑戦であったため、しみじみと感じるものあり。奇遇にも結果通知と同時にそちらの悩みにも雪解けが訪れる予感。
USCPA は受験要件が厳しくなってきている。また Certificate 取得要件も厳しくなってきている。PBT (Paper Based Testing) から CBT (Computer Based Testing) への移行で1科目ごとに受験できるようになり、受けやすくなったが、受かりにくくなった *1 。受験料もかなり高くなった。私が取得を目指しはじめた頃に較べて、敷居は相当高くなっている。
私の総学習時間は600時間くらい。一般に1000時間といわれているところからすると少なめだが、だらだらと受験し続けたので効率 *2 はよくない。初めの1年でインプット学習を終え、その後は受験直前に(≒渡航してから)アウトプット学習するというのが基本的な学習スタイルであった。英作文はまあ得意なので Essay, Simulation 対策は特にしていない。OOAF (Other Objective Answer Form) も MC (Multiple Choice) と同じように考えていたので対策はせず。600時間の半分は Audit 1科目に費やされている。この科目は他の3科目とはかなり毛色が違うので、経理や監査の業務経験がない受験生は苦労すると思われる。効果的な学習方法は別の機会に紹介しようと思う。
私の場合は渡航中に会社の同期から結婚報告を受けたときに限ってなぜか科目合格する。常夏の島で泳ぎもせず、太陽を浴びながら勉強するのは最高の贅沢であったが、それも遂に終わる。以下は挑戦の記録。この試験にはハプニングがつきものである。
2001/11 学習開始
- 受験準備
- 受験予備校の ANJO International に入学。ここで学んだ大学サークルの同期2人と会社の先輩1人がこのとき既に合格している。この頃の ANJO は飛ぶ鳥を落とす勢い。いまは ...
2002/05 仮受験 @ Hawaii Convention Center, Honolulu, Hawaii
- 受験科目
- FARE, ARE, LPR, AUD
- 受験手続
- 受験資格確認と様子伺いのために Enrollment Candidate *3 として受験申請してみる。初回受験は学位認定など手続が面倒。外国人でも受験可能、会計単位要件が少なめ、実務なしで Certificate 取得が可能という3点で Delaware を選び、受験登録。Delaware どころか東海岸には行ったことがない。Delaware は田舎らしいが、法人登記のメッカなので USCPA の登録地としてふさわしいのではないかと思う。会計学の総本山 Illinois ほどではないが。
- 学習と受験の状況
- この時点では FARE のインプット学習しかしていないので、合格など想定していない。USCPA 受験生の気分を大いに味わい、今後の学習意欲の糧にする。まだ全く勉強していない ARE の OOAF で S-Corporation, C-Corporation という単語を見て「Corporation の頭に S- だの C- だのついて何だろうこれ?」と思うほど無知であった。ビジネス・エンティティはいまや最も惹かれる分野である。
- 試験結果
- 当然、全科目 Fail。だが、FARE がそれなりの結果だったので「勉強すれば合格できる」との感触を得る。
2002/11 第1回目受験 @ Hilton Waikiloa Village, Waikoloa, Hawaii
- 受験科目
- FARE, ARE, LPR, AUD
- 受験手続
- この回は Hawaii 受験者が多すぎて Convention Center では溢れることが目にみえていた。Convention Center のカレンダーでも AICPA の予定が入っていない。結局、Hawaii 島 Waikoloa のリゾートホテルが会場になる。敷地内ではモノレールが走り、植物園・テーマパークのような様相。無粋な USCPA 受験者が押しかけてリゾートを楽しもうとしたビジターには迷惑をかけたと思う。CPA Candidate Price を提供してくれた Outrigger Waikoloa Beach に宿泊。
- 学習と受験の状況
- FARE, ARE のアウトプット学習、AUD のインプット学習を終え、FARE, ARE の科目合格をめざして受験。
- 試験結果
- 全科目 Fail。4科目合計点が 250 点。もう数点分布がずれていれば 75 点, 75 点, 50 点, 50 点で2科目合格であった。
2003/05 受験見送り
- ハプニング
- 異動につき新任社外研修 (SAP Academy) を受講することになったため、受験は1回休み。だが、この新しい仕事 ERP Consulting が、後々 Audit の理解を促すことになる。
2003/11 第2回目受験 @ Hawaii Convention Center, Honolulu, Hawaii
- 受験科目
- FARE, ARE, LPR, AUD
- 受験手続
- 今回が最後の PBT。
- 学習と受験の状況
- LPR のインプット学習を8割がた終えた以外、前回の受験から勉強はほとんど進捗していない。FARE, ARE の科目合格をめざして受験。最後の PBT ということで、おみやげとして CPA Exam 特製の鉛筆が受験会場で配られる。
- 試験結果
- FARE, ARE が Pass。LPR, AUD は科目合格要件 50 点を満たす程度。
2004/05 第3回目受験 @ Prometric Center, Hagatna, Guam
- 受験科目
- BEC, AUD
- 受験手続
- 今回が最初の CBT。科目替えで、ビジネスローが ARE の後継 REG に編入され、Credit したことに。代わりに、Credit したはずの管理会計が BEC に編入され、再受験することに。仕事で理解が必要な「管理会計」、元来の専門分野「情報技術」、大好きな「ビジネス・エンティティ」、得意な「ミクロ経済学」、USCPA 挑戦後に学習しようと思っていた「財務管理」と BEC は私の得意な分野の寄せ集めになる。
- 学習と受験の状況
- 渡航直前10日間の BEC アウトプット学習のみ。それでも BEC の一発合格を狙う。AUD は CBT の様子伺い。CBT になって Guam で受験できるようになったため、2泊3日コースになり休暇取得の負荷が軽減 *4 される。
- 試験結果
- BEC が Pass。AUD は合格にはほど遠い。
- ハプニング1
- NTS (Notice To Schedule : 受験票) が届くであろう時期を1週間過ぎても届かない。再送付を申請する。それから1週間ほどで届いたが、そのさらに3週間後にもう1通オリジナルと思しき NTS が届く。オリジナルの NTS の封筒を見ると JAMAICA のスタンプが押印されている。US Post が宛先の JAPAN を JAMAICA と間違えたために、JAMAICA に送られ、US に戻され、そして JAPAN に再送されたという経緯が読み取れる。
- ハプニング2
- 前回やる気を触発されたはずなのに、仕事が忙しく学習時間が確保できないまま受験を迎える。だが CBT 初の BEC は易しかったらしい。
- ハプニング3
- Guam のホテルはコネクティング・ルームが多い。また旅行者の質も悪い。隣の部屋の騒音が響いて睡眠不足。耳栓は必携と悟る。
2004/11 第4回目受験 @ Prometric Center, Hagatna, Guam
- 受験科目
- AUD
- 受験手続
- 非常に忙しく最も仕事の制約を受けた中での受験。
- 学習と受験の状況
- 受験科目も残り1科目となり、いよいよ完全合格を目指した真剣モードである。通勤時間を利用しアウトプット学習して臨んだつもりだったが、ふり返ると問題集の MC を1回まわしただけで、しかも誤答の補正・復習をしていない。
- 試験結果
- Fail。合格にはまだまだ遠い。しかし、それなりに勉強したはずなのにスコアが伸びないので、ANJO のインストラクター (既合格者) に Audit の勉強方法をたずねてみる。「SAS (Statements on Audit Standards) は読みましたか?」との答えが返ってくるが、この頃はまだこの言葉の意味するところが認識できていない。
- ハプニング1
- CPA 受験だと知っているくせにホテルのボーイが "See you.Come again!" などとのたまう。実際、次回もそのホテルに泊まることになる。
- ハプニング2
- CPAES だか NASBA だか Delaware Board of Accontancy だかわからないが、発送の手違いでアルファベットにして母音1文字違いの別人 -- 実弟と同姓同名! -- の別科目の試験結果が届く。受けとるべき試験結果の再送を要請するが、再送スケジュールと他の要因を勘案して Next Testing Window での受験をあきらめる。
2005/05 第5回目受験 @ Prometric Center, Hagatna, Guam
- 受験科目
- AUD
- 受験手続
- 今回が最後の受験となればと、豪勢に成田エクスプレス+エグゼクティブ・クラスを確保する。
- 学習と受験の状況
- 問題集での誤答を復習しアウトプット学習して臨むが、まだ SAS の重要性には気づいていない。問題集でも本試験でも、ほとんどの問題には悩まず正答がだせるようになった一方で、数%の誤答が排除できない。というか、間違う問題は正しい選択肢とそれに似た誤った選択肢とどちらでも同じだと感じてしまう。
- 試験結果
- Fail。合格に3点届かず!
- ハプニング
- Guam 便が3時間のディレイ。到着日にすぐ受験というスケジュールにしていたら危ないところ。Guam には片道3時間半で気軽に渡れるとはいえバッファーはとっておくものだ。
2005/08 第6回目受験 @ Prometric Center, Hagatna, Guam
- 受験科目
- AUD
- 受験手続
- 前回の結果が通知されるや否や、この Testing Window の予約を行う。Testing Window 末の8月下旬は当然既にほとんど予約で埋まっている。8月中旬は夏休みで航空券やホテルも空きが少なく値段が高い。仕事のスケジュールも勘案して針の穴を通す *5 ように 8/23 の受験を予約。PBT で Credit した FARE, ARE が10月、CBT で Credit した BEC が11月に失効する。今回 Fail するとチャンスは10月のみになるが、これまでのスコア・レポーティングのスケジュールからすると10月の再受験申請は厳しいかもしれない。背水の陣である。
- 学習と受験の状況
- 前回までの学習で排除できなかった数%の誤答を徹底的につぶすことにする。誤答の傾向を調べると、用語・概念の定義説明問題が多い。SAS を開くとこの類の定義説明がズバリ記述されている。というか、定義説明問題は SAS の原文そのものである。この期に及んでようやく試験対策なるものを理解する。いままでの学習方法は六法を見ないで法律を学んでいたようなものだ。本試験で悩んだ問題は2問ほど。問題の問う本質ではなく、引っ掛けようとする出題者の意図を感じて英文の意味するところを考え悩む。
- 試験結果
- Pass。長き戦いにようやく終止符。
- ハプニング1
- 受験料 (Prometric の会場使用料) が値上げになる。来年は、受験料 (NASBA 登録料) も値上げになるらしい。
- ハプニング2
- いよいよ Certificate 取得要件の厳格化が Delaware にまで及ぶ。2005 年中に受験登録をしなければ、実務なしの Certificate 取得が不可能になる。受験済みの私は有資格者であるが、いつさらなる厳格化がすすむかわからないため、Ethics の学習を早めに行う必要あり。試験合格後も追い立てられる身分...
- ハプニング3
- 渡航予定日前日にグアム国際空港でノースウエスト航空が着陸の際ノーズ・ギアを折って滑走路で立ち往生。空港閉鎖。同日着の日本航空・全日空はサイパンに、コンチネンタル航空はグアム島北部のアンダーソン空軍基地に急遽 Destination 変更。半日たって空港閉鎖は解除されたのだが、搭乗予定便が欠航するのではと渡航直前にやきもきさせられる。スケジュール変更は間違いなく不可能で、再受験登録も微妙な時期だけに、欠航していたら資格取得自体を断念せざるをえない可能性もあった。
- ハプニング4
- これまでのスケジュールを変更しようとしたせいか今回のスコア・レポーティングはかなり混乱している。Express Grade Mailing Serivice を申し込んだのに、試験結果が普通郵便で届く。また今回のものだけではなく、前回の Fail の通知 -- 試験結果は Fail なのに現在ステータスは4科目 Credit !? -- と2通送られてきたので困惑する。
- ハプニング5
- 後日、さらに Express Grade Mailing Service (DHL) で試験結果が送られてくる。普通郵便より遅く着いても意味がない。DHL の手違いで、送り主も宛先も USCPA とは全く関係ない別件の他人の郵便物も届き、困惑する。