妬みの社会構造

日本経済新聞記事より。

民主渡部氏「国民感情許さない」・日銀総裁のファンド問題
 民主党渡部恒三国対委員長は17日午後、福井市内で開かれた党会合で講演し、福井俊彦日銀総裁村上ファンドへの投資問題について「銀行にお金を預けても(低金利で)1銭ももうからない時に、日銀総裁が1000万円預けて何百万円ももうけた。これは国民感情が許さない」と厳しく批判した。

 問題追及に向けては、国会閉会後も質疑を行える閉会中審査を求めた上で「国会(会期)は終わったと言われるが、これから本格的に始まる。年金問題防衛施設庁談合事件を含め、国民の関心があることは各委員会で徹底的に追及していく」と強調した。〔共同〕 (19:04)


日本社会はどこまで妬みの構造なのだろうか?

なぜこのようなひがみ根性で問題の論点を矮小化するのか、まったく理解できない。儲けたから悪いのではない。経済政策を担う人間が独立性を担保しないことが悪いのである。一国の、それも世界経済に大きな影響がある国の経済政策に独立性が担保されなかった影響は福井日銀総裁が儲けた数百万や投じた数千万円の比ではなく、日本市場の信用を揺るがしたという意味で数兆円の規模である。

村上ファンドに投じていたという外形だけで充分独立性を毀損しているのだから、投資収益という実質のいかんに関わらず即刻解任がふさわしい。個人資産公開を要求するのは論点を誤っているのではなく、その動機が妬みにあることをあぶりだす。国会議員の品格が問われる。

事前 Ex Ante のリスクをとらない者が、リターンを得る者を事後 Ex Post に糾弾する − それはこの国の根底にある狂気。論理も倫理も超えてこの国を動かすネガティブな原動力。