Training for First Officer w/ Flight Simulator

Level & Straight Flight

都内某所で Flight Simulator による F/O 訓練。B737-800 で 2.0H。

本日も 6,000 ft, 240 kts で Level & Straight Flight (および Recovery from Unusual Attitude)。ようやく ± 10 ft, ± 1 kts の精度でLevel & Straight Flight するコツをつかむ。が、まだ step check (科目修了試験) のレベルには至らず、次回でのチャレンジをめざす。

2 回の訓練とその振り返りにより、ジェット機の操縦はなぜ Level & Straight Flight ですら難しいのか、その構造的な理由が見えてきた。

  • 理由① : 慣性を対象とした Throttle 調整

ジェット機の Throttle 調整は、小型機のように飛行諸元の絶対水準 (A/S = ●● kt & Alt = ●● feet) を決めるものではなく、慣性 (の変量)、すなわち相対水準を決めるものである。Level & Straight Flight が維持できていたとして、1 kt 上げるためには、N1 を +1% して所望 A/S になる少し前に元に戻す、という操作が必要になる。

  • 理由② : 要求される Pitch の精度

飛行速度が速いため、Pitch のわずかなズレが A/S と Alt の大きな乖離につながる。したがって、York の圧を感じ、ADI にも表示されないくらい僅少な髪の毛1本分の Pitch 操作をすべきとなる。大きくなったズレの補正は、Pitch ではなく慣性の変量を相対的に調整する Throttle で行わなければため、その難しさの分だけ Over Control しがちになる。

  • 理由③ : スキャンの速度と対象

所望諸元での飛行からズレを大きくしないためには、基準となる Pitch (6,000 ft, 240 kts の Level & Straight Flight なら Pitch = 約 2.5 ° + Δ) を見定め、そこを中心に大きく離れない (一定枠内、たとえば ± 2° で維持する) ことが重要。一瞬でも大きく外れると飛行速度が速いため、A/S, Alt が大きく乖離する。ところが、Throttle 操作するために EICAS へ目をやるとそれだけで髪の毛 1 本の精度を要求する Pitch が狂う。スキャンの目線が ADI に戻ってくるまでのインターバルが長いと、設定したはずの枠から Pitch がいとも簡単に大きくはみ出ることになり、そうなるともう当初意図した Throttle 調整が無意味になる。したがって、ADI をスキャンの中心に据えること、スキャン速度を上げること (特に他をスキャンしたらすぐに ADI に戻ること) が肝要。


という気づき (の一部) を教官に伝えたところ、特に理由①の分析に感心され、いくつか新たな助言をもらった。その中で印象深かった洞察は「補正操作でさえ慣性を動かす要因になる、なぜなら Flight Controls (Aileron, Elevator, Rudder) を動かして空気抵抗を生じさせているため *1」というもの。実利的だった助言は「イメトレをするなら、A/S & Alt の組み合わせに対し、York と Throttle 操作をどうするか即応する訓練を Flash Card 的に実施するのが最適」というもの。


また、教官による Recovery from Unusual Attitude のデモンストレーションを見て気づいたことがある。 Recovery from Unusual Attitude は所望諸元にもっていくまでに A/S, Alt, V/S, Heading, Throttle を総合的にコーディネイトするわけだが、諸元のすべてを常に総合的にコーディネイトしているわけではなく、まずは Bank 調整、次に Alt および V/S 調整のための Pitch 補正、そして A/S 調整のための Throttle 補正、合間に Heading 調整のために少し Bank を傾ける ... というように意識を傾ける対象が時点時点で常に 1 つに定まっている。一方で、その対象以外も決して無視しているわけではなく、一定幅から外れない程度に周辺視野や意識の片隅 (20% くらい) でコントロールしている。

私の場合は、Bank & Pitch を瞬時に修正する初動の反応はよいものの、その後は常に全体をコーディネイトしようとして意識がどこにも集中していない状態になり、結果として所望諸元に達するまでに長い時間を要することになっている。反応すること、主としてコントロールすべき対象を判断すること、そこに意識を傾けること、それでいてその対象以外を意識の片隅で緩やかにコントロールすること、が肝要。

本日の重要ポイント

  • Pitch
    • York の圧を感じ、髪の毛 1 本分をコントロールする
    • Pitch のコントロールを一定枠内 (± 2 °) に抑える (Scanning が ADI から離れるときに要注意)
    • Pitch で精緻にコントロールできなければ、より難しい Throttle で大きく調整しなければならなくなる
  • Throttle
    • 慣性の変量 (相対水準) をコントロールすると意識する
    • Throttle 調整の前後に EICAS をチェックする
  • Scanning
    • スキャン速度を上げる (特に ADI への戻りを速くする)
    • 漫然とコーディネイトしようとせず、主たる修正の対象へ意識を傾ける、一方でその対象以外を意識の片隅で緩やかにコントロールする
    • 反応速度を高めるイメージトレーニングとして、Flash Card 訓練が有効
  • Instrument
    • A/S, ALT ゲージの上部に目標諸元が赤紫で表示されている
    • A/S, ALT の目標水準 (および Allowance) はゲージ内に赤紫の Indicator が表示されている (A/S の Allowance は ± 3 kt)
    • 地表接近時には ADI 下部に電波高度計高度が表示される

*1:つまり、Over Control などしたら空気を搔き乱していることになり、Throttle による慣性調整など極めて困難だということである。