Training in Commercial Pilotage with FTD

都内某所で Flight Simulator による F/O 訓練。B737-800 で 2.0H。本日は様々な指定諸元への Smooth Transition および Recovery from Unusual Attitude。

Straight & Level Flight

まずは、いつものとおり Take Off from RJTT RWY 34R から 6,000 ft, 240 kts での Straight & Level Flight。

Take Off は不格好ながら、Straight & Level Flight は ± 5 ft, ± 0.2 kts 以内に収めるなど Pitch も Power 設定もかなり繊細にできるようになってきた。諸元が全体的に整っており、大きく狂うものがない、すなわち Scanning が上達しているとのこと。

ところが、教官からは「Heading だけは必ず数度ズレていますね ... Heading と Track の違いはわかりますか?」と言われ ... 「ん? Alt, A/S の調整より簡単な Heading の操作をできないはずはない (し、Heading と Track の違いがわからなければ実機で Cross Country に出られるはずがない)」といったん止めてもらって相互確認する。その結果、B737 の Navigation Display の読み方を誤っていたことが判明。自機の先に延びる白線を Heading だと思い込み、それを桃色の Bug に合わせるものだと考えていたら、白線|は Track、白三角▽が Heading、白ボックス□内の数値は Heading / Track 表示モードの場合にそれぞれ Heading / Track になるらしい *1。したがって、Bug を Target Heading に合わせたら、表示モードが Heading / Track いずれにせよ、白三角▽を Bug に合わせるように飛べばよいということになる。ADI の Bank 表示といい、無知からくるこの類の誤りが多い ... (特に、小型機から大型機や別メーカーへの) 機種移行訓練は充分に積まないと危ないということだ。

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Heading 表示モードの Navigation Display
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Track 表示モードの Navigation Display
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CTR セレクター (VOR = Heading 表示モード、MAP = Track 表示モード)

Recovery from Unusual Attitude & Smooth Transition

その後、Straight & Level Flight や Unusual Attitude から指定諸元への Smooth Transition を実施する。おおむねうまくできるのだが、5 分間継続と時間指定されたり、2 分以内に指定諸元に収めると制限されると指定時間の 2/3 ほど過ぎたころに、集中力が切れ、Scanning が荒くなって崩れる諸元があり、それを戻そうと小型機のように荒く操作するクセが出てしまい Over Control となることが多い。残り時間が少なくなってから大きく狂うため Stabilized Transition は難しくなってしまうのだが、過去の大失敗の教訓 *2 を活かし、それでも Stabilize させることを最後まで諦めない。その結果、Time Up の時点では、Stabilize とは言えず、多少の揺らぎがあるものの、おおよそ指定諸元にいる。その諦めない姿勢が教官から大いに褒められる。

最後に 10,400 ft から 2,000 ft までの降下を指示され、Power Idle にしても Descending Rate が低く時間がかかるため、Spoiler を使うことを提案し、操作させてもらう。

著しい上達があったものの、Step Check を兼ねていたであろう今回の指定諸元への Smooth Transition 訓練で常に安定的に Stabilize させることができなかったためか、明確に合格とは言われなかった。Step Check Clear に向けて Smooth Transition に必要な要素を本日の重要ポイントに記す。

本日の重要ポイント

Smooth Transition に必要な要素は下記のとおり。(前回の拡張版)

  1. 初動 (Recovery from Unusual Attitude の場合)
    1. Bank と Pitch をクイックに修正 (特に Pitch を一定幅に抑える)
    2. 目標諸元を PFD の桃色表示で確認
    3. Power を荒く調整 (Power Idle でも高度は緩やかにしか下がらない *3 )
    4. 初動対応後に気を緩めない (ここで考えてしまい Scanning が遅くなる傾向あり)

  2. 諸元水準の移行
    1. いかなる諸元要素も現状より悪化させない
    2. 全体をおおまかに適正水準へ持っていく (複数の諸元要素を同時に補正しようとしない)
    3. 待って安定させる (持っていこうとするのではなく、待つ)
    4. 至らない諸元要素を把握し、調整する
    5. Level Off への移行ポイント・操作を事前に設計する

  3. 諸元の微調整
    1. 細かく補正する
    2. 集中力を持続する

*1:表示モードの切り替えは Mode Control Panel 上の左席 Navigation Display の上部あたりに位置する CTR セレクターで行う。

*2:Private Pilot License の筆記・対面試験のときに 70 点取れば合格なのだからと、苦手分野は早々に捨て、得意分野で稼ぐ戦法を取っていたら、何かをすぐに諦める姿勢は Pilot として必要な資質と真逆のものだと試験官から指摘され、その場で Fail となってしまった。Business Person と Pilot は求められる資質が大きく違うということを身をもって知った。

*3:ジェット機の場合、アイドルにしても N1 = 33% くらいにしかならず、また、速度が速く流線形であることからプロペラ機に比して空気抵抗が小さいため。