Training in Commercial Pilotage with FTD - The Best Take Off Climb

都内某所で Flight Simulator による F/O 訓練。B737-800 で 2.0H。

Acceleration / Deceleration

本日の訓練内容は Acceleration / Deceleration (増減速)。前半戦は初対面の K 教官。前回の Straight & Level Check の完了後、その感覚を忘れないように訓練頻度を高めようと 3 週間おきに 2 回の予約をしていたのだが、体調不良で 1 回欠席し、結局 1 ヵ月半ぶりの訓練になる。この間、イメージトレーニングもほとんどしていなかったのだが、今回、操縦し始めてみると自分でも驚くくらい、滑らかに安定してコントールできている。高度・速度調整も細かく、旋回しながらでも滑らかにこなす。

6,000 ft に上がったところで Acceleration / Deceleration をやってみましょうということで、これまで 240 kt 一定だったところを 200 ~ 280 kt で変化させてみる。A/S・Alt・Power の相互変換と Pitch との関係などはきちんと理解しており、正しい方向に対応できるのだが、やってみて難しいのはやはり Power 変量やリードの適切な設定がわからないということ。教官から助言してもらったのは、A/S ゲージに表示されている、グリーンの矢印 (= A/S 変化率) の先がマゼンタのバグ (= A/S 目標値) に近づいたら Power を「じわじわ」と戻す、ということ。これがまさしく正鵠。この方法を実践すれば困ることがない。

教官から「これだけうまく操縦できるのなら Straight & Level や Acceleration / Deceleration だけではもったいない、いろいろやってみましょう」と言われ、RJTT RWY 34R から Take Off → Landing をすることになる。ここで FD (Flight Director) なるもの *1 を使ってみる。アナログの ILS 指示器は 1 ~ 2 度使ったことがあるが、FD を利用するのは初めて。十字となっているところに ADI の中心点をもってくればよい、ということでそのようにしてみるが ... 大きな操作を大して必要としない Traffic Pattern を飛んでいるはずなのに FD があっちへ行けこっちへ行けと上下左右に激しく動き回り、外の景色もグワングワン揺れている! たまらず「なぜこんなに激しく動き回るのか?」と教官に聞いてみると「十字を追従する操作が激しいから」だと言う。なるほど、十字と中心点との位置合わせに夢中になってしまうと、目標コースに対し機位は合っても運動量が合わず Overshoot することになるわけで、目標コースへ徐々に Intercept することを心掛け、滑らかに十字追従すればよいと理解した後は、Smooth Flight になる。3,000 ft, 165 kt の低高度・低速で飛行を続け、そうこうするうちに RWY 34R Short Final で PAPI が見えてくる。最後 Power を絞るタイミングを教官に Cue 出ししてもらったものの、 ジェット機で初めての Smooth Landing。あまりに Center Aligning だったため、次に Take Off するときに設定初期化済みだと勘違いしてしまったほど。

1 時間たったところで教官交代して後半戦、また Acceleration / Deceleration の訓練。RJTT RWY 34R Take Off からいつものように 6,000 ft, 240 kt を目指す。過去最高の Smooth Climb & Level Off で 5,000 ft から 1 分 23 秒で 6,000 ft ± 20 ft, 240 kt ± 0.4 kt, Heading + 1°にて Stabilize する *2 ... のだが、教官が「Stabilize したらコールしてください」と言うため、ここから Deviation を潰さなければならないのかと考えるも集中力がなくなり、時間が経つうちに Deviation が ± 60 ft、± 2 kt と却って広がってしまう。敗因は Deviation を潰そうと意識しすぎて維持目標を Pitch から VSI に移してしまったこと。VSI は結果として動くものであり、変化の初動と方向を捉えるのには向いているが、遅行指標である VSI を目標とすると Delayed Feedback に基づいて操作することになり Overshoot するという基本をうっかり忘れてしまう。

集中力は切れたものの、教官からは「現役パイロットと勝負できるくらい繊細なコントロールができている」との評価をいただき、Acceleration / Deceleration へ進む。後半戦をやってわかったことは、Acceleration よりも Deceleration の方が仕上げるのが難しいということ。Climb よりも Descent の方が Level Off するのに難しいことに似ている。低速はコントロールが効きが悪いこと (加えて、ジェットはレシプロに比べてエンジンのレイテンシーが長く、諸元変更時の反応が悪いこと) に起因している。逆に高速は Pitch のわずかなズレが Altitude の大きなズレを招く。 減速・低速・降下時は仕上げに、高速時は Pitch に特に意識を向ける必要がある。

また、Power Setting のために EICAS に視線を向けると Pitch が大きく狂うのが弱点。克服するには、Throttle レバーをどれだけ動かせば ΔN1 = 1% か感覚を掴み、EICAS は水準を確認するためにちらっと一瞥するにとどめる必要がある。さきほどの Climb to and Level Off at 6,000 ft の時と同じく、VSI ではなく、目標を定めて Pitch を固定することが重要。Scanning の 70% は Pitch であるべき、とは教官談。たしかに Pitch を一定枠内に固定しておきさえすれば A/S, Altitude, Power の修正量は簡単に把握でき、また、微修正で済む。

その後、Constant Rate Climbing / Descent, Constant Speed Climb / Descent 等 (いま Guam の Instrument Flying コースにて不定期で実機訓練している) 科目に取り組む。教官から矢継ぎ早に指示出し。その中で、6,000 ft から 7,000 ft に上昇しましょう ... (心の声:はいはい、いつものとおり Throttle を 7 - 8% Up と) ... Climbing Rate は 500 ft/min で ... (Constant Rate Climb ですな、500 ft/min なら穏やかな Alt Transition、適切な Pitch を穏やかに探って) ... その間に 260 kt から 220 kt へ落としましょう ... (なに!? Throttle を戻す、いや、かなり絞らないと) ... なんて応用問題も。

得たインサイトが多く、また、自身の技量向上をはっきりと自覚した有意義な訓練であった。

本日の重要ポイント

  • Scanning の 70% は Pitch
  • (Pitch も FD も) ゆっくり動かし、じっと耐えて安定させ、必要変量を見極める
    • VSI を目標にすると Delayed Feedback により Overshoot する
  • Throttle レバーの必要操作量を手感覚で掴む
    • 1 kt = 20ft = ΔN1 1% (戻し操作必要) のトレードオフと合わせて覚える
  • 増減速時の Pitch 変化、Yoke の Feedback は徐々に変化していく
  • 増減速の仕上げでは、グリーンの矢印 (= A/S 変化率) の先がマゼンタのバグ (= A/S 目標値) に近づいたら Power をじわじわと戻す
  • 減速・低速・降下時は仕上げに、増速・高速・上昇時は Pitch に特に意識を向ける

*1:Flight Director : PFD (Primary Flight Display) 上で、目標とすべき Pitch, Bank をマゼンタの十字 FD Command Bars で示すもの。

*2:スクールの Allowance は Altitude ± 20 ft, A/S ± 1 kt, Heading ± 1°。