Training in Commercial Pilotage with FTD/FFS - Lead Design for Take Off Climb w/ B737-Max

羽田空港へ移転した某所で Flight Simulator による F/O 訓練。B737-Max で 2.0H。f:id:Crayon:20200614100048j:plain:right:w480

Take Off Climb w/ B737-Max

3 月に実施予定だったものの移転とコロナ騒動で何度もリスケ・延期してようやくめぐってきた、モーション付き B737-Max 新シミュレータによる初訓練。といってもモーションは自分では動かさず、遊びに来た他のお客の体験操縦を見ていただけだが。モーションなしでは FTD (Flight Training Device) だが、ありでは FFS (Full Flight SImulator) となる。

前半は N 教官と、後半は K 教官といつものとおり Take Off from RJTT RWY 34R から 6,000 ft, 240 kts での Straight & Level Flight。B737-Max シミュレータは B737-800 シミュレータと全然違う! シミュレータ自体の感触の違いとしては以下の通り。

  • York
    • York は重くなったが、実機に近くなったらしい。
    • 遊びがなくなって反応がよくなった。以前のものはニュートラル近辺では小さく動かしても感応せずグイっと大きく動かさなければならなかったが、初動にも敏感に反応するようになった。ただし重い。
  • Throttle
    • Throttle も重くなり、これは実機よりも重いらしい。
    • 静止摩擦係数が小さくなって微調整がやりやすくなった。以前のものはグイっと力を込めないと動き出さなかったが、滑らかに動き出すようになった。ただし重い。
  • PFD, ND, EICAS のディスプレイ
    • 高解像度になり見やすくなった。
    • PFD が最大 8 秒くらい固まることがある。(景色は操縦に遅延なく追随するため、グラフィックボード ~ PFD 出力系統のどこかがボトルネック。)
  • その他
    • Bank がかなり敏感になり、Wing Level で安定せず常に Roll 調整が必要になった。実機よりも敏感らしい。

B737-800 と B737-Max との間の機種の違いとしては以下の通り。

  • EICAS は PFD に近づき、視点移動を要さなくなって見やすくなった。
  • Throttle 出力がかなり強くなった。Power 諸元は B737-800 と異なるため、見直しが必要になった。

Max はかなり高出力であるため、諸元を全面的に見直す必要がある。今回やってみて機種移行訓練というものがなぜ必要か実感としてわかった。今回のテーマは B737-800 から B737-Max への機種移行訓練だ。

まず、Straight & Level はいままでの Pitch = 2.5° +, Power = 63% では通用せず、Pitch = 3.8° (2.5° と 5° の中間か気持ちやや上), Power = 57% くらいにしないと維持できない。旧機種で Check を通った身としてこのくらいはやってすぐに感覚で把握する。フゴイド運動することを見越して、VSI の揺らぎを先読みし、Pitch を安定させる。

しかし、Throttle のリード量調整を把握できていないため Altitude Transition はなかなか滑らかにいかない。Alt を 100 ft オーバーシュートするのはまだいい方で、 A/S を 25 kts もオーバーシュートすることまである。何度か Take Off & Climb to 6,000 ft をやってみて気づいたのは、高出力であるため、Take Off Climb では Pitch をいままでより高め (+1目盛り 2.5°) に設定して A/S を維持する (制限速度 250 kts を超過しない!) こと、1,000 ft to Level Off あたりに近づいたら早めに Power を絞ること。また、Descent では Power Idle くらいにまで下げないと降下しない、ということ。

そんなこんなで最後には Take Off Climb → Straight & Level Flight 移行のタイムチェックも 2 分程度に収まりそうなくらいの水準になったため、Take Off & Climb の諸元はこのくらいになるのではないかという想定値で更新 (黄色マーク) して *1、次回 Stage Check に備える。


B737-MAX A/S Pitch Alt VSI Throttle
Rotate VR 0 0 TO/GA
Rotate + 5 sec 12.5
400 ft 159 20.0 400 4,000-
3,000 ft 240 12.5 3,000 3,000-
1,000 to Level Off 10.0 5,000 2,000- 75%
500 to Level Off 5.0+ 5,500 1,000- 65%
Level Off 3.8 5,950 500- 57%

本日の重要ポイント

  • Max は高出力のため、Pitch は高い方向へ、Power は低い方向へ諸元を見直し
  • Descent は Power Idle まで下げてもよい
  • フゴイド運動することを見越して、VSI の揺らぎを先読みし、Pitch を安定させる

*1:実感としてわかったのは、エンジン性能により、安定する Pitch も変わるということ。DC-10 がメーカー推奨よりも Pitch を大きく取った方がエネルギー効率がよいと航空会社が気づいて 4° Pitch で巡航するようになり、他機種よりも通路が傾いているため「DC-10 乗務は (なぜか) 疲れる」と CA がボヤくエピソードを思い出した。