Training in Commercial Pilotage with FTD/FFS - Acceleration/Deceleration, Constant-Rate-and-Speed Climb/Descent

羽田空港内某所で Flight Simulator による F/O 訓練。B737-Max で 2.0H。f:id:Crayon:20200711105104:plain:right:w480訓練前にターミナルビル1階の航空神社にお参りしたご利益か、今日は実り多く、また、最初から操縦が非常に滑らかかつ安定的で終始「練度が高い」感を醸し出す、充実の一日となる。

Take Off Climb Step Check

Take Off Climb を少し練習した後にすぐに N 教官の Step Check へ進むも、練習初回が最も上手に行く。B737-Max の諸元をまだよくつかんでいないからこそ、「諸元の水準を合わせればなんとかなる」的な雑なリード設計から脱して、少し動かしてはその反応を見て操作必要量を探りつつ所望諸元に近づけるようこまめに当てに行く Feedback & Reaction が上手にできるようになっている。

Acceleration / Deceleration

次の訓練科目 Acceleration / Deceleration へ進む。常に Alt 6,000 ft を維持しつつ増減速する。最初に A/S 240 kt から 200 kt へ減速し安定させたら、 240 kt へ増速し安定させる。次に Configuration Change (Gear Down & Flap Down) を伴う140 kt への減速、つまりは Slow Flight へ移行する。低速域でただでさえ難しい制御が Configuration Change で Drug が増えさらに難しくなる。しかしそこはセスナの実機操縦で得意だった Slow Flight、逸脱を小さく安定させる。再度 240 kt へ増速したら、 N 教官から「最後はお遊びで 120 kt まで落としてみますか」との指示で Super Slow Flight へ移行。A/S をちょっと下方逸脱すればすぐ Stall する、加えて機位は群馬・新潟県境の山岳地帯、Alt をちょっと下方逸脱すればすぐ CFIT になる、というすべてが超スレスレの Risky Flight。A/S が 118kt くらいになると A/S Gauge が黄色くなり Stall Warning *1 が鳴るが、逸脱を最大でも A/S -5 kt, Alt -500 ft, Heading 25° くらいに収め、急な Attitude Change をしないよう、Bank を傾けすぎないよう操作して安定させる。低速域だと TO/GA くらいに Power Set しないと Alt の損失を埋めるのに至らない。

A/S 140 kt w/ Configuration Change は難しいが「よく考えるとこれは Final Approach ですね」と教官に振ると、Pitch を下げて Descent している Final Approach と比べて、Straight & Level @ 6,000 ft は Pitch Up しないとできないため、Drug がより強く発生しており、それだけより難しいとのこと。この過程で気づいたことがいくつか。

  • Alt & A/S を Power だけで調整はできない
    • 当たり前だが Pitch でも Alt & A/S は変わる。Pitch と Power で調整する。
  • 探りながら細かく調整する、でよい
    • Next Action は調整の結果を見極めてからでよい。設定を変えたら、高度安定するまで待つ、速度安定するまで待つ、エンジン音周波数が安定するまで待つ。
  • Power Setting の調整は、Climb では易しく、Descent では難しい
    • Power は Idle (Min) まで下げても高度がなかなか下がらない一方、(極端な低速域でもない限り) Power を To/GA (Max) まで上げなくても高度は上がるため、所望高度での Level Off における Power 変量は Climb で 少なく、Descent で多くなる。(2,000 ft 移動して 6,000 ft 目標の場合、それぞれ 73% → 58%、23% (Idle) → 58% くらい。)
    • Power 変量が多ければ Attitude Change が大きくなる。妥当な Attitude から逸脱すれば Drug が増え、Feedback が狂って Overshoot し、調整が収束しにくくなる。必然的に、調整は一気にはできず、長くこまめに行うことになる。
    • Alt & A/S は少し超過気味に調整しておいて、Pitch 操作で Drug を作って微調整するという方法もありそう。特に、低速域・低高度でのAlt や A/S は、超過は許容、不足は非許容とするのがよい。
  • Pitch の微調整を Trim でやってはいけない
    • これはよく言われるあるあるだが、今回初めて実感として理解できた。安定的に Straight & Level している最中ならばまだ許されるかもしれないが、Power Setting Change, Configuration Change, Gust 等々の Pitch を大きく動かすファクターがある中で Trim で Pitch 調整をやってしまうと、どこが Pitch の妥当な水準か簡単に見失う。実際、今回、Trim でちょっとした Pitch Up を図ったところ、おそらくその時に教官が Flap Down したのであろう、簡単に Pitch が 5° ほど Alt が 1,000 ft ほど跳ね上がってしまった。

Constant-Rate-and-Speed Climb / Descent

最後の訓練科目 Constant-Rate-and-Speed Climb / Descent を実施する。まず 1,000 ft/min で 10,000 ft まで Climb してみる。Constant-Rate-and-Speed であっても、フゴイドを勘案した上である VSI を基準点 に Pitch を作ることは Straight and Level と同じ、VSI x 1/10 (ft) 程度の Lead を取って Level Off する、と以前に学んだことを活かし、そのとおりに実演してみる。次に 500 ft/min で 8,000 ft まで Descend する。こちらでも、Descend では Level Off Lead を少し大きめにとる、と以前の知恵を活かす。

途中、教官に1回 Pause され「Heading の修正が遅い」と指摘される。反省すべき点は 2つある。

  • Scanning が遅い、そして、Bank を調整すべき方向を確認していない
    • Pitch & Power → A/S & Alt の修正が大変であるためこちらを優先し、Bank → Heading は劣後させている自覚がある。
    • Heading の状況に関わらず、とりあえず Bank Neutral にして (おけば Heading がそれ以上ズレないため) 余力が生まれたときに転進しようと考えている。
    • Bank 調整をする前に、まず ND で修正すべき方向を確認する *2
  • Pitch を調整すると Bank も揺らぐ、が、それを修正していない
    • Pitch も Bank も Yoke 操作であるため、片方のみを意識して調整したら、もう片方がズレるのは当たり前。常に両者一体として調整する。
    • 教官にヒントをもらって体得したが「Pitch を直したら Bank も見る、Bank を直したら Pitch も見る」とすると驚くほどブレなくなるため、これをクセにするとよい。

f:id:Crayon:20200712113233j:plain:right:w480問題が複雑であることから Yoke (Pitch) と Throttle 操作で A/S + Alt (+ Power) という2次元の調整と Yoke (Bank) 操作で Heading という1次元の調整をあえて分離していたのだが、すべては右図のとおり連動しているため、また PD 上の Center Point があるべき位置は上下 (Pitch) 軸+左右 (Bank) 軸上の1点にあるはずであるから、 Pitch と Bank はセットとして修正し3次元で調整しなければならない*3ということだ。

最後に 500 ft/min で Climb してから、さらに 750 ft/min での Climb を指示され、750 ft/min Climb の Pitch を探っていると ... 教官にまた Pause され「なぜ、そんなに手探りで探る?」と問われる。つまりは、1,000 ft/min Climb と 500 ft/min Climb を経験しているのだから、750 ft/min Climb の Pitch は、全く手探りではなく、当たりがつくはずだということを問われているのだ。むー、難しい ... 私の Short-Term Memory は大きくないのよ ... さきほどの Pitch がどのくらいだったかなど憶えているわけがない。しかし、そういう観点で設計ができないのは、先の信号が赤ならばエンジンブレーキを効かせつつ惰性で進むか緩やかにブレーキをかけるだけでよいのにアクセルを吹かしてしまうタクシーのようなものだ。乗客に G を感じさせず、エコ操縦し、ついでに訓練時間も短くすます、技量の高い操縦士になるには、先々を見据えたリード設計ができるようにならなければならない。自他ともに認めるほど技量が一段階向上したことがあり、次の目標水準ができたということだ。

本日の重要ポイント

  • A/S & Alt は探りながら細かく Pitch & Power で調整する
  • 設定を変えたら、高度安定するまで待つ、速度安定するまで待つ、エンジン音周波数が安定するまで待つ
  • Power Setting の調整は、Climb では易しく、Descent では難しいため、Descent では特に早期・入念にリード設計する
  • Power 変量が多い調整は、一気にやろうとせず、長くこまめに行う、また、A/S & Alt を超過気味にしてから Pitch 操作で Drug を作って微調整することを視野に入れる
  • Pitch の微調整を Trim で行わない
  • Pitch を直したら Bank も見る、Bank を直したら Pitch も見る
  • Bank 調整をする前に、まず ND で修正すべき方向を確認する
  • 経験した飛行諸元を憶え、それを活かして先々を見据えたリード設計をする

*1:Stick Shaker ではない。

*2:教官に指摘されたが「Bank が傾いていて Heading が所望する方向へ流れているのに、わざわざ Bank Neutral にしてしまうこともある」とのこと。

*3:飛行諸元の結果として合わせるのは3次元 (A/S, Alt, Heading) だが、飛行諸元の微小変量・感応度 (Trend Vector, VSI, Pitch, Bank) と出力 (Power) も合わせないと結果の3次元を維持できないから、結局は8次元を所望諸元に合わせることになる (Trend Vector と Power は常に見ているわけではないため、実質 6.5 次元くらいになる)。