Training in Commercial Pilotage with FTD/FFS - Constant-Rate-and-Speed Climb / Descent, Lead Design for Level Off

f:id:Crayon:20200925145809j:plain:right:w320羽田空港内某所で Flight Simulator による F/O 訓練。B737-Max で 2.0H。現役コパイロットである Y 教官からレクチャーを受ける。定期運航路線が減って現役パイロットも副業しなくてはならないのだろうか ...

羽田空港は沖留めこそ少なくなったが、ボーディングブリッジにつながれている機は多い。国際線ターミナルに Delta Airlines の B777 っぽい機が 2 機留まっているが乗客は少なく、旅客型に貨物搭載する Combi 運用となっているらしい。

Constant-Rate-and-Speed Climb / Descend

初対面である Y 教官と RJTT 34R から Take Off Climb し、いつものように 240 kt & 6,000 ft を目指す。お互いに慣れていないこともあって Climb Setting や機体重量がいつもと少し違うのか *1、A/S が伸びないなぁなんてぼーっと考えているうちに 5,000 ft 時点で A/S 203 kt, Pitch 16°, VSI 4,000 ft/min, Power 93% とメチャクチャになってしまう。 Pitch Too High & Power Too Much のため、当然 Overshoot する。これで Level Off Lead が苦手だと見抜かれたのか、本日のテーマは Climb / Descend での Level Off Lead になる。

前回の訓練で Autopilot が作る諸元を憶えたため、Climb / Descend (VSI 500 - 1,000 ft/min) での A/S, Pitch, VSI はスムーズに作れるようになった。しかし以前得たノウハウである VSI x 1/10 (ft) から開始している Level Off はうまいとはいえない。

そこで、今回、教官から教えてもらったコツは「ジェットでの Level Off は VSI x 1/10 (ft) で Power を先に調整し、VSI x 1/20 (ft) で Pitch を後に調整する」のが基本ということ。同時に実施すると操作がバタバタとなり安定しないことと、Power (の操作に遅行して出力) が調整されてくると Pitch 諸元も変わってくることが理由。さらに応用として、A/S が低ければ Power Up して速度を付けなければならないため Power 操作をより早めにする、逆に高ければ操作を遅めにというタイミング調整をする。

これが正鵠で、実践してみると驚くほどドンピシャに Level Off できる。VSI 500 - 1,000 ft/min での Level Off は完璧といわれるほど。Pitch はやや激しく調整することもできるため Power を操作した後でも十分に間に合い、Power → Pitch という調整は心に余裕をもたらす。この方法だと、これまで Climb Level Off よりも難しいように思えた Descent Level Off の方がより簡単にできる。

ということで、今度は実践の応用編。Idle Descent と N1 Climb をやってみる。A/S を 240 kt 一定にしつつ Power を Idle / N1 (Green Marker = 88% くらい) にして Descend / Climb する。Idle Descent では VSI 2,000 ft/min くらい出るため 200 ft 手前で Power 調整、100 ft 手前で Pitch 調整でピッタリ Level Off できる。N1 Climb では 2,500 - 3,000 ft/min くらい出る上に、一般に Δ VSI / Δ Power は上昇よりも下降の方が小さいため、Level Off がより難しい。 200 ft 手前ではまったく間に合わない。おそらく 300 ft 手前くらいから Power を一気に絞らないといけないのではないか *2。Alt の Trend Vector が調整開始のもう一つの目安になる、が、これを追っていては N1 Climb の Level Off はおそらくうまくできない。

よくよく考えると、VSI 500 - 1,000 ft/min の時の ΔPower は -28% (Descend) / +10% (Climb) であるが、Idle Descent / N1 Climb の時は -30% (Descend) / +25% (Climb) と通常の Descend / Climb に比べて ΔPower の増分が Descend で大きく変わらないのに対し Climb で 2.5 倍となっている。ΔPower を戻す分の操作量が Climb 側で相対的に大きくなっているのだが Throttle が重く戻すのに時間がかかることも勘案すると、当然 Climb では Lead を相当にとらなければならない。そしてまた一方で、これこそが Constant Rate-and-Speed Descent で Constant Speed とならずに増速してしまう理由でもある。Power Idle まで下げてもなお Power 過多なのだ。

というわけで Roll Off Lead は下表のような感じになるのではないかと推測する。(カッコ内数値は目標ではなく結果として到達するであろう水準。)

A/S Pitch VSI Power ΔPower Level Off Op. Start
Power Pitch
Climb N1 240 15.0-17.5 *3 (+5,000) 88% +25% -300 ft -150 ft
1,000 ft/min 240 5.00+ +1,000  73% +10% -100 ft -50 ft
Straight and Level 240 3.75  0  63% 0% *** ***
Descend 1,000 ft/min 240 2.50  -1,000  35% -28% +100 ft +50 ft
Idle 240 1.25  (-2,000) 33% -30% +200 ft +100 ft

本日の重要ポイント

  • Level Off は Power → Pitch という順に操作する
  • Level Off Lead は Power = VSI x 1/10 ft 手前, Pitch = VSI x 1/20 ft 手前で調整開始が基本
  • Power の調整開始点は A/S によって調整する (増速 / 減速する必要があるなら早め / 遅めに)
  • Idle Descent なら Power は 200 ft 手前で調整開始するくらいがよい
  • N1 Climb なら Power は 300 ft 手前で調整開始するくらいがよい
  • 調整開始のもう1つの目安は Alt (や A/S) の Trend Vector
  • VSI 1,000 ft/min との ΔPower の差分 (Throttle 調整量の違い) は、Idle Descent ではほとんどないが、N1 Climb では 2.5 倍

*1:確かに違うのだが、これは言い訳でしかない。

*2:ということが気になり始めると、Power を操作する前に EICAS を確認し、操作した後にまた EICAS を確認する、という以前の指摘は自然にできるようになる。

*3:当該 Power Setting で A/S 240 kt を維持する Pitch。