Private Pilot License Training - 安全講習会

Ground Lesson

Emergency について。訓練科目にも Emergency はあるが、それはあくまで Simulation。Engine は Idle ながらも回っているし、50ft 〜 100ft で Recovery に入る。本日は "本当の" Emergency について。

K 教官いわく「みなさん、Approach し始めてから何分でどのくらいの距離を進んで Landing しているのか考えていますか?」「Vertical Speed 500 fpm で降りてくる、A/S 85kt から 65kt に減速していくのは知ってますよね。その間にどのくらいの距離を進んでいるのでしょうか。」...つまり、そういう感覚を普段から磨いておかないと Emergency のときに Aimimg Point に届くか届かないか判断できないということなのだ。

(囲み枠の中は講習会の内容を回想しての後日談)

・・・ちょっと計算してみる。AGL 1,000ft (Guam では 1,300ft) から AGL 0ft (300ft) まで降りてくるのに (1,300 - 300) ft / 500 fpm = 2 min かかる。その間に A/S 85kt から 65kt に減速するが、最後は 65kt で粘るので、平均 70 kt として 70kt = 70nm/h だから 70nm/h x (2/60) h = 2.333nm = (2.333 x 1.852) km = 4.321km 進んでいることになる。これを feet に換算すると 4.321km = (4.321 / 0.3048 x 1,000) ft = 14,177ft になる。1,000ft 降りる間に 14,177ft 進むのだから、滑空比 14.177。角度にすると arctan(1,000 / 14,177) x 360°/ 2π = 4.035°。ちゃんと 4°Path になっている!

続けていわく「よい Pilot というのは、いまここで Engine が止まったら飛行機をどこに降ろすか、常に考えています。」

羽田空港 Runway 34R から Take Off する飛行機が正面に見える職場オフィス。自分のフロアは 18F、地上 90m だから AGL (≒ ASL) 300ft、通常の Landing なら 35 秒後に 1,300m くらい先、川向かいの青いビル (倉庫?) の先くらいに Touch Down するが...Engine Trouble ならそこまで届かないから、河口付近に着水か、手前の浜離宮庭園に不時着だな...でも浜離宮では滑走できないから、Stall させて広葉樹の上にふわりと落とすのかな...などと想像する。

さらに「みなさんいつも PGUM Runway 6R から Take Off しますけど、AGL 500ft で Engine 止まったらどこに降ろしますか? 180°Turn して Runway 24R に降ろしますか? いざとなったら Taxiway でも Ramp Area でもいいですね。でも技量が必要ですよ。Turn すれば Tail Wind になりますしね。AGL 400ft ではかなり難しいですね。」

そうなのか...180°Turn で 24R だと当たり前のように思っていたが...確かに Engine 止まっていたら、Turn できるほどの Altitude は維持できないかもしれない。Shallow Turn で 24R を狙うには長距離飛ばなければならないし、Steep Turn すれば大きく Descend してしまう。Feasibility についてきちんと考えたことがなかった。

見透かされたように、続けて「みなさん Emergency のことはそれなりに考えていらっしゃるでしょうけど、想定されたシナリオはたいていギャップがあってつながっていません。」「Runway 6R から Take Off したらどこに降ろせるかあらかじめ Google Earth などで調べておくのもよいですね。」

Google Earth で調べてみる。6R の Runway End から 500ft x 14.177 x 80%*1 = 5,670ft = 1,728m の範囲で降ろせそうなところは...右真横 Heading 150 の 800 〜 1,700m 先に平地っぽいところがある、というか、ここしかない。しかし、飛んだことある人ならわかると思うが、ここに行くまでに丘と陥没したような窪みがあり、その上を通るのはかなり勇気がいる...

Runway 24L から Take Off したときなどは、降ろせそうな平地がない! 海までも最短距離で 1,700m!

そして、「さて、不時着するなら Potato Field と Beans Field どちらが良いでしょう?」...違いがあるのかと思っていたら...「Potato のような地下作物の畑は (土が掘り起こされていて) Soft Field なので、Beans の方が Landing には適しています!」 (^_ ^;

本日の重要ポイント

  • 迷いは禁物 : Aiming Point を決めたら、機体の再利用可能性、保険、当局対応などを考慮して躊躇してはいけない!
  • 常に非常時対応シナリオを考えて飛べるように
  • そのために、Approach を総合的に捉えたイメージトレーニングを常にしておく
  • したがって、諸元を理解しておくことは大事

*1:滑空比のエンジントラブル時安全率を 80% と見る。