ストックオプションの最高裁判決

先月に書いたブログ id:Crayon:20041217 の続報。
日本経済新聞の記事より。

ストックオプションは給与所得」確定へ・25日に最高裁判決
 ストックオプション(株式購入権)による利益が「一時所得」か、税額がほぼ倍になる「給与所得」に当たるかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第3小法廷(藤田宙靖裁判長)は18日、判決期日を25日に指定し、関係者に通知した。弁論が開かれていないため、「給与所得」に当たるとした国税側勝訴の2審・東京高裁判決が確定する公算が大きい。

 国税当局によると、係争中のストックオプションを巡る同種訴訟は約百件。地裁レベルの判断は分かれているが、高裁レベルでは労務の対価と認めて「給与所得」とする判断が続いている。最高裁判決は今回が初めてで、ストックオプションを巡る一連の係争に決着が付くことになりそうだ。

 訴えたのは、米アプライド・マテリアルズ社の日本法人の元社長。1996―98年分の確定申告でストックオプションの利益を一時所得として申告したところ、給与所得に当たるとして追徴課税されたため、不服として提訴した。


この記事だけでは詳細はわからないが、ストックオプションによる利得のすべてを給与所得としたなら極めて非合理な形で最終結審することになる。
労務対価として会社から付与されたから利得のすべてが給与所得というのは合理性を書く乱暴な議論である。
給与所得かどうかを性急に判断するのではなく、ストックオプションの合理的な費用計上基準*1を定めるまで判決も保留しておくべきではなかったかと考える。
今後制定されるであろうストックオプションの費用計上基準は、この判決と整合性を保てるのだろうか?


会計士は訴訟による偶発債務の算定に弁護士など専門家の意見に耳を傾ける。*2
なぜ、司法は専門でもない勘定について会計士や税理士に意見を求めず、雑駁な議論で独断を下すのか疑問でならない。
「既存の法律に規定されてなければ、問題の本質や合理性など考慮せずとも司法が独断で決める」というのであれば、それは法治ではなく人治である。

*1:米国会計基準 SFAS 123 号は合理的な基準を定めている。

*2:米国監査基準 AU 336 号 Using the Work of a Specialist