二重課税

「なぜガソリン税に消費税等が二重課税されるのか」という友人の質問にブログ上で答えているうちに、自分でも問題整理ができた。

結論としては、ガソリン税と消費税等の関係は二重課税ではない。

販売価格1L100円のガソリンの売買取引を考える。

 1)1Lのガソリンを販売すると、販売者はその収入100円に対し収入税として53.8円のガソリン税が課税される。
 2)販売価格100円のガソリンを購買すると、購買者はその支出100円に対し支出税として5円の消費税等が課税される。

販売価格1L100円という外形に対し、1つの取引の収入と支出の両面から販売者・購買者の両者に課税されている。


自分用の備忘録として要点をまとめておくことにする。

  • 販売と購買(=仕入)のサプライチェーンが環をなして経済は成り立っており、その各段階の取引に販売と購買の両面で課されるのが取引課税の本質。
    • したがって、広く薄く公平な課税が租税の原則となる。
    • 課税は、環をなす経済の各段階で行われるので、すべての税は感覚的には多重課税である。
  • ある取引の販売と購買という反面に着目すると、販売への収入税(ガソリン税法人税等)と購買への支出税(消費税等)が二重課税に見える。
    しかし、前者は販売者への、後者は購買者への課税であり、租税法上は二重課税ではない。
    • 収入税は直接税として、支出税は間接税として課されることが多い。
    • 1つの取引・外形に対する販売・購買の二面の課税が、直接税に対する間接税の二重課税と錯覚されやすい。
  • ある主体の収入と支出という二面に着目すると、収入税(所得税法人税等)と支出税(消費税等)もやはり二重課税に見える。
  • 収入か支出かどちらかでの課税に統一すれば、各取引から見ても、各主体から見ても、一面でのみの課税なので、二重課税に見える錯覚がなくなる。
    • 収入税への統一は「頑張って収益を稼得しても税で搾取される」という結果平等(社会主義)偏重になる。
    • 支出税への統一はエンゲル係数の高い低所得者への課税逆進性として機会平等(自由競争主義)偏重になる。
    • 社会構造のグランド・デザインの観点からすれば、両者のハイブリットとなるのはやむをえない。