月7 租税法 (渡辺裕泰先生)
今週のテーマは、所得税の所得区分(不動産所得〜譲渡所得)。
ストックオプションの所得区分に関する裁判 id:Crayon:20050125 についても言及あり。付与オプションという非流通性資産の潜在価値を評価するのは実務上難しいため、ファイナンス理論と会計基準と課税基準の間に解消されないギャップが生じる。その結果、一連の会計/税務処理が整合せず、ストックオプション課税の混乱を生んでいる。実務上の困難を勘案すると、SFAS 123 号のような会計理論*1と違って、どうも一貫した処理体系にはならなさそうだ。そのため、オプション価値を顕在化させる税務リスク回避策*2も最近では模索されているとのこと。
水6 インベストメント・バンキング (村山正和先生ほか)
今週のテーマは、ヘッジファンド。ヘッジファンド戦略は、相対価値戦略、ロング・ショート戦略、オポチュニスティック戦略、イベント・ドリブン戦略の4つに分類できる。戦略の分類に始まり、目的、構造、特徴、具体論と、要点を押さえながらトップダウンで進む講義は非常にわかりやすい。
水7 国際取引課税 (渡辺裕泰先生)
今週のテーマは、PE。匿名組合スキームの解説。
金7 ミクロ経済学 (蟻川靖浩先生)
今週のテーマは、部分ゲーム完全均衡、完全情報。
部分ゲームの Backward Induction は、情報科学における「部分木の Divided Concur」を思い出す。今日の証券化の講義との共通点は「行動戦略には、歴史(= Historical Data)が大事」ということ。ゲーム理論/情報科学という理系分野で「歴史から学ぶ」という文系の教訓に改めて思いをめぐらせる。何事も因果*3 *4だ。この科目もまた課題が出る。
講義後に先生と企業戦略についてちょっと議論する。この講義では、ベルトラン競争モデルといい、新規参入阻止戦略といい、私の周辺環境である通信会社や航空会社がよく登場する。実感があって考察が深まるが、その帰結は明るくない...
土3 ファイナンスの基礎 (野口悠紀雄先生)
今週のテーマは、オプションとブラック・ショールズ。
株価とは企業資産価値のコール・オプションであるとの考察は非常に興味深い。オプションの変化を原資産価値の変化と関連付けるブラック・ショールズ式は微分導関数のようなものと考えられる。企業資産価値の1階オプションが株価であり、2階オプションが株式コール・オプションである。*5
「先物契約は相手がいない女性がクリスマスを共に過ごすボーイフレンドを予約すること。オプション契約とは予約した上にクリスマスまでにより良い男性が現れたらキャンセルできる都合のよい契約。後者は当然対価が必要となる。」という例えを野口先生がするとは思わなかった。このコール・オプションを対価を払わず実現できないかと以前考えたことがある...
土4 エクイティ・インベストメント (米澤康博先生)
今週のテーマは、CAPM の考察、個別リスクと市場リスク。
低成長期には分散/インデックス投資よりも個別銘柄投資の方が優れていると常々考えていたが、その理由をズバリ言い当てられる。営業レバレッジの大小により採るべき販売戦略が異なるのと同じ構造の戦略論。
土6 法学補講
気力・体力の限界につき欠席。出席必須ではない科目は一度欠席するとなかなか出席できないダメ人間。
[不定期聴講] 監査論A (勝島敏明先生)
履修数と仕事の関係から履修ではなく聴講という形で不定期に参加している。人知れずこっそりと参加したかったのに履修者は5人。人に知られずというのは無理だ。初回参加から憶えられている。
今週のテーマは、証取法監査と商法監査。特別法と一般法、異なる基準で二重に規定されている日本独自の制度なので、米国の監査制度しか知らない私には参考になった。
先週は課題が出たらしい。たまたま欠席した聴講生には預かり知らぬ話だ...と思っていたら「来週まででよいので提出してください」とのこと。履修生と同等に扱ってくれなくてよい...来週出席できるかどうか怪しいのに。月曜日「税務会計」の教室ででも手渡すか。課題の内容は、内部統制や Sarbanes-Oxley Act。まあ、普段いろいろと考えているトピックなので適当に意見しておけばよいだろう。
今週は課題が3つ!
*1:SFAS (米国財務会計基準審議会意見書) 123 号 Fair Value Method は、理論的には大変美しい。
*3:"You see, there is only one constant, one universal, it is the only real truth: causality. Action. Reaction. Cause and effect." とは Merovingian のセリフ。映画「Matrix Revolutions」より。
*4:因果と機会費用(=採らざる選択肢の先にある未実現未来と現実との比較)を考えていたら、映画「The Butterfly Effect」が無性に見たくなる。