月7 租税法 (渡辺裕泰先生)
今週のテーマは、損益取引の法人課税。
貸倒引当金 (間接償却) は更正手続に入ると 50% 損金算入、更正決定すると 100% 損金算入と当事者間合意が損金算入可否の決定要因であるのに対し、貸倒損失 (直接償却) は債務者どころか債務保証者の全額支払不能性まで求める。これはダブル・スタンダードだから前者に一本化するべきというのが先生のご意見。
一見、会計学では保守主義、税法では実現主義で計上する引当基準に反する方向だが、貸倒れが債務者および債務保証者に更正と同等の社会的ペナルティを課すのなら充分同意できる。ただ現実には、債権者がきわめて少ない場合に債務者と債権者が共謀すれば互いの期間損益が調整可能になるという問題 -- 債務者の現金流動性をあえて低くして部分不履行にし、その部分を貸倒れとすれば、債務者には他の欠損金と通算可能な益金、債権者には他の所得と通算可能な損金が生まれ、後年度に回収可能 (貸倒損失の引当金繰戻し) とすることで revert できる*1 -- があると思う。
6/27 締切の課題あり。
水6 インベストメント・バンキング (村山正和先生ほか)
今週のテーマは、年金債務問題。
存在意義を疑うほど非常に退屈な講義。公的年金と企業年金、確定給付と確定拠出、厚生年金基金の代行返上など、誰でも知っているような年金の概論。ALM の話かと思っていたが講義ではまったく触れず。せめて SFAS 87 に則った会計処理 -- ABO, PBO, APPC*2 の計算方法 -- か、年金数理士の仕事くらい紹介するかと思ったが、それもなし。
水7 国際取引課税 (渡辺裕泰先生)
今週のテーマは、移転価格税制 (TNMM)。
先週の課題を解いているうちに間接外国税額控除について疑問が浮かんできたので、講義後、先生に質問する。図を描くものの要領を得た質問ができず、しばらくかかって先生に酌んでいただいた質問の趣旨は「当年度稼得した配当原資をベースに受取配当額割合で外国法人税を間接税額控除するならば、後年度に配当されることになる内部留保の持分割合についての外国法人税はいつどのように間接税額控除されるのか?」、派生して「当年度稼得した配当原資を超える配当の間接税額控除はどうなるか?」の2つ。癒し系先生自ら調べてきていただけるとのこと。
金6 証券化 (川口有一郎先生ほか)
今週のテーマは、集団投資・流動化スキームの法的検討。
楽しみにしていた弁護士先生の講義ながら仕事で25分の遅刻。短い時間に盛りだくさんの内容なので極めて skipping なペースだが、これだけ抑えていれば良いという全体像を俯瞰した内容なので満足する。*3
商品区分によって根拠法が異なる現状を改め、証券取引法・金融先物取引法等々、果ては銀行法・保険業法まで含むかもしれない投資サービス法の整備が検討されているとのこと。市場取引は包括的に規定されるであろうが、相対取引はどこで線引きするかが難しいのではないかと思う。
金7 ミクロ経済学 (蟻川靖浩先生)
今週のテーマは、オークション。
「English Auction (競売入札方式) と Second Price Shield Bid Auction (第二価格封印方式) では利得構造の理論的な帰結は同じでありながら後者の方が競争コストが低くて済むのに、なぜ公共事業では前者しか利用されないのか?」と授業で問われた。
「『調達は最も安い手段を用いること』と規定されているため」というのが私の考える答え。公的部門に限らずおよそ組織たるもの、このような内部規定は必ずあるであろう。この規定が表面的な最安値を求める。たとえそれが共謀・談合・出来レースの末に生まれた形式だけ整えた相見積の中での最安値であろうとも。こうして作られた契約価格は、共謀という外部性に起因するコストが含まれており、当然、実質価格では最安にはならない。しかし、社会システムの運用者というのは実質ではなく、表面にこだわるものなのだ。*4
土4 エクイティ・インベストメント (米澤康博先生)
休講。
[不定期聴講] 監査論A (勝島敏明先生)
仕事につき欠席。