今週の授業について(06/07 〜 06/13)

木6 数理ファイナンス (中里大輔先生)

平均回帰金利モデル (Vasicek Model, Hull-White Model)。

確率過程ながら、確率論ではなく微積分で話が進んでいくのが Good。式は複雑だが導出ロジックは難しくない。今回のインプリケーションは「ボラティリティは 1 Factor Model ではフィットしにくく、Multi Factor Model で Product Integration すると良いが、それで金利構造をフィットさせても Cap, Floor, Swation などの金利オプションまでフィットするとは限らないことが多い」ということ。

場の説明力が高いモデルがその場の上にある単純なオプションに対して説明力を持たない、そこにある乖離とは何なのか考えさせられる。

木7 リアルオプション (川口有一郎先生/長谷川専先生/山口浩先生)

投資意思決定におけるリアルオプションの役割 (理論と実践)。

前回の復習と続編。最新の実証研究では「株価 = DCF + ROV」であることが示されているという。

ROV とは未実現利益のようなものであるので、純利益に包括利益を加える包括主義の概念拡張に重なって見える。リアルオプションというファイナンスにおける比較的新しい概念・応用と、会計における包括主義・時価主義への転換傾向 (静態論/資産負債アプローチへの回帰) の出現の時期が重なるのはおそらく偶然の一致ではない。会計はファイナンスにおける先進思想の影響を受け、(ゆっくり一歩遅れてではあるが) その成果を取り入れているのだと思う。