Training in Commercial Pilotage with FTD - Lead Design for Glide Path

都内某所で Flight Simulator による F/O 訓練。B737-800 で 1.5H。このお気に入り機種は、なんとなんと、まもなく退役で ... 詳細未公表のため詳しく書けないが、今後は B7x7-xxx (6 軸モーション!) と A3xx になるらしく、今回が私の B737-800 Last Flight に (╥_ ╥) アイチャクアル ヒコーキ トノ オワカレ サミシイヨ ... 機種移行訓練せねば ٩(ˊᗜ ˋ*)و メゲテル ヒマハ ナイ!

Acceleration / Deceleration Step Check

本日の訓練は Acceleration / Deceleration (増減速) の Step Check。

いつもの通り RJTT RW 34R から Take Off して 6,000 ft へ上がること 2 回。少し Power の絞り方が遅かったために 3 kt ほどオーバーしたりもするが、以前のようになかなか逸脱が収束しないということもなく、おおむね良い感じ。

今日は Acceleration / Deceleration がメインで、その練習をしてから Step Check に挑む予定だったのだが、教官の連携がうまくなく、240 → 280 kt の Acceleration を 1 回やったのみで N 教官へ引き継がれ Step Check へ。前回の反省を活かして Alt を維持する Pitch 調整を安定的にやったため、滑らかな A/S 移行ができたが、Acceleration より難しい Deceleration の練習をしないままの Step Check 突入であるため、当然、低速域では Lead 設計がうまくなく Deceleration の Exit は粗が目立つ。しかも最後は Stall 直前の 140 kt まで A/S を大幅に下げた Slow Flight をやることになったため、Pitch & Power 調整にかなり苦労する。それでも、レシプロ実機訓練で培った技量で、激しく逸脱することはなく収束させ、Step Check をクリアする。

この過程で発見したことだが、トレンドベクターは、Power を操作して A/S が動き始めたことを理由として動くのではなく、Pitch を傾けるだけでも感応する。A/S のトレンドベクターは A/S のみを情報源としているわけではなく、明らかに Pitch や Power の状況もすべて含めて複雑な「計算」をしている *1

後半の訓練は Constant Rate Climb / Descent。「500 ft/min で Climb」と教官に言われて、グイっと適当に Power を +10% くらい動かし、500 ft/min 前後を維持する。教官に「240 kt を維持して」とさらに要求され、「ん、Constant Rate で、かつ、Constant Speed で Climb って、N1 を何 % にするのか Power 設定を知っていなければできないでしょ」と心の中で反応しながら A/S に目をやると Climb 開始時に 242 kt くらいだった A/S が 244 kt → 245 kt と徐々に上がりつつある。教官がシミュレータを止め「なぜ Power を入れた?」と問う。 なんと答えたらよいかわからず「なぜって ... Climb だから ...」と漏らすと、「それは Power 水準で Alt がほぼ決まり、慣性を気にしなくてよいレシプロ機の操作方法だ」と返される。

ジェット機では「まず Pitch で姿勢を作って A/S ⇔ Alt (Climb / Descent の場合は VSI) の位置・運動エネルギー変換を行い、所望 Alt / VSI に設定したときに過不足する A/S を Power で補う」「先に Power 調整を行う *2 と調整の所要量がわからず A/S, Alt, VSI, が乱れて、整えるための操作をする必要に迫られるものの安定する水準を捉えられない結果、逸脱を収束させられずにワチャワチャすることになる」とのこと。さきほどの操作でいえば、Climb 開始時に 242 kt であったのであるから、まず、Pitch を上げて上昇し、240 kt に下がる間に 240 kt & 500 ft/min を維持できる Power を探る、ということになる。「Power は A/S 見合いで微調整するものであり、N1 = XX % という絶対水準を目指すものではない、だからこそ Power 出力水準を表示する EICAS はパイロットの視野中心から外れたところに配置されている」とも。

ということで、再度、Constant Speed & Rate Climb / Descent に挑戦すると ... なんだ、維持すべき基準点が Alt = 一定 すなわち VSI = 0 ft/min から VSI = 500 ft/min になるだけで、Straight & Level Flight とやることは変わらない! この訓練を始めたときは、こんな重い Yoke で Pitch 髪の毛 1 本のコントロールなんてムリ、まして、Constant Speed & Rate Climb/Descent なんて神業と思っていたが、自分にもできる! Climb / Decent Exit のリードは、レシプロのときと同じく、VSI = 500 ft/min なら 50 ft 前と VSI の 1/10 の数値 (= そのままレートを維持するとしたら 6 秒前相当) になる、また、今後 Traffic Pattern などをやっていく上で 750 ft/min が基本になるという。

最後にエンジン音を消すと、途端に操縦がガタガタになり、やってはならない VSI 追従をしてしまう。いかに普段、視覚以外の情報に頼っていたかがわかる試行だった。次回以降は 6 軸モーションを使うこともできるため、新しい発見があるかもしれない。

次回以降に備えて、降下角 3° (Final Approach)、4° (TOD からの Descent)、3.5° (いま話題の RJTT RW 16R/16L Approach) の Descent Rate と A/S の関係を計算しておく *3

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Air Speed (kt) Descent Angle (degree)
3.0 3.5 4.0
Descent Rate
(ft/min)
500 110 95 83
750 165 142 124
1,000 221 189 165
1,250 276 236 207
1,500 331 284 248
1,750 386 331 289
2,000 441 378 331

本日の重要ポイント

  • Constant Speed & Rate Climb の操作方法
    • まず Pitch で姿勢を作って A/S ⇔ Alt (Climb / Descent の場合は VSI) の位置・運動エネルギー変換を行う
    • 位置・運動エネルギーの過不足は A/S に現れるため、A/S の過不足の量をみて Power を調整する
    • 基準点を所定 VSI に置くだけであり、Straight & Level の操作と本質は変わらない
  • Exit Lead は VSI の 1/10 の数値 (= 6 秒前相当)
  • Traffic Pattern では 750 ft/min が基準となる

*1:トレンドベクターは 10 秒後の状況を予測しているとのこと。

*2:ジェット機でも Power = 63%, Alt =6,000 ft と固定目標を定めておけば、理論上は A/S = 240 ft へ徐々に収束することになるが、Pitch が揺らげばそれだけ Drug となり、Gust 等でも諸元を狂わされるため、実際には収束しないという。

*3:こうして計算してみると Final Approach の Glide Path を 3° → 3.5° にすると、Descent Rate を維持するなら A/S がかなり減じられる = 迎角が大きくなってパイロットの視線と滑走路が成す角度は 0.5° 以上に大きくなり、また Stall すれすれの低速になるため安全バッファーがなくなる、一方で A/S を 165 kt に維持するなら Descent Rate を 2 割増の 900 ft/min 程度にしなければならず、これまた判断や操作のリードタイムが削られ安全バッファーがなくなることがよくわかる。