郵政民営化

平野達夫と竹中平蔵

郵政民営化参議院特別委員会で審議されている。民主党平野達夫議員と竹中平蔵郵政民営化担当大臣の質疑応答は互いにメカニカル・デザインに関して鋭く、なかなかおもしろい。

郵便事業の郵便局ネットワークは残す。貯金事業の窓口サービスは代理店契約で。」と担当大臣が答弁すれば、平野議員は「貯金事業の窓口サービス(=郵便局ネットワーク)の適正サイズが、依拠する郵便事業のそれと同じとは限らない。」と反論する。

「郵便局のネットワーク経済性は国民の資産だから、維持するインセンティブがある。」と担当大臣が答弁すれば、平野議員は「それは担当大臣の設計者としての評価であり、民営化後は社長(=郵政公社総裁)が経営判断するのだから、そのときにインセンティブが計画したとおりに働くかはわからない。」と反論する。

「経済性と適正サイズ」、「民営化後の経営責任」など、相手の主張の根底にあるポイントを使って切り返すのはなかなか美しい反駁*1だ。

感情論でしか反対できない自民党のバカ抵抗勢力は、制度設計に対してどう反駁するべきか少し見習うべし。というか、制度設計に関してこういう議論ができない人間が立法権を持つ議員という存在であってはいけない。

小泉純一郎

小泉首相はよくやったものだ。郵政民営化法案が可決されても、否決され衆議院を解散しても、マニュフェストでコミットメントを切った「郵政民営化、これはやるんです。」「自民党をぶっつぶす。」のどちらかは確実に実現できる。これぞ政策ポートフォリオ

郵政民営化が実現されれば「一般会計40兆円」の8倍もある裏国家予算「特別会計320兆円」(≒郵便貯金の投融資)を白日の下にさらし*2、国家予算のフローががらりと変わる。自民党をぶっつぶせば、「政治の空白を作る」と言われるが、それは純粋に政策闘争ができる二大政党制の実現へ道を開くということだ。

こんな大転換をどちらかは確実に実現できるとは...いままではただの人気取り首相だと思っていたが、後世に名を残すことは間違いない。首相に衆議院解散を思いとどまらせることなどインセンティブにならないことが自明だと、首相に較べてスケール感がはるかに小さい自民党反対派議員にはわからないのだろうな。

*1:ただ、平野議員は議論が細かすぎるきらいがある。比喩や類例を用いた間接的な、でも理解しやすい答弁を全否定するのはよくないところ。

*2:これは故石井紘基民主党議員の悲願なのに、民主党郵政民営化法案に反対しなければならないのは皮肉。