新 BIS 規制 Basel II

未経験分野に飛び込む転職を図って10日が過ぎた。これからは金融機関向けフィナンシャル・コンサルティング業務に従事する。ただいま 新 BIS 規制 Basel II の勉強中である。もともと Accounting に興味があった私にとって、Finance のそれもリスク管理という分野に興味を持てるかどうか不安であったが、Basel II の詳細を読むとシステムの構造が Accounting と共通しており、なかなかおもしろい。

Basel II は3つの柱 (3 Pillars) で構成されている。


[Pillar 1 : 最低所要自己資本]
 リスク管理手法の合理性と自由度を高めるべく、旧 BIS 規制 (Basel I) を改定して策定された基準。
 会計制度とのアナロジーで表現すると、勘定ごとに扱いを定める「会計基準 (GAAP)」である。


[Pillar 2 : 監督上の検証プロセス]
 Pillar 1 をモニタリングする枠組。
 会計制度とのアナロジーで表現すると、会計基準への適合性を測る「監査基準 (GAAS)」である。


[Pillar 3 : 市場規律]
 Pillar 1, 2 を補足するガバナンスの精神。
 会計制度とのアナロジーで表現すると、「すべては市場が判断する」という「証券法 *1証券取引法 *2 の立法精神」である。


Accounting は、取得原価主義から始まり、いまや多くの見積/未実現項目を含む時価主義になった。これは、履歴 Historical Record のみを表現する過去志向から、期待損益 Expected Profit & Loss をも表現する未来志向になりつつあることを意味する。未来志向で必要になるのは、先行する Finance 研究の教えるとおり (期待値 Mean に留まらない) 期待分散 Mean-Variance 分析すなわちリスク分析である。

Basel II はこのリスク分析/管理の手法や枠組を示すものであり、未来の会計基準といえる。自分の仕事が未来の会計基準を作成することにつながるかと思うとエキサイティングで興味は尽きない。

*1:Securities Act of 1933

*2:Securities Exchange Act of 1934