今週の授業について (10/23 〜 10/28)

水6 ファイナンス課税 (渡辺裕泰先生)

今週のテーマは、デリバティブストックオプション

いよいよ各論に入る。ストックオプションは 今年1月の最高裁判決 (id:Crayon:20050125) で取扱いが確定したので、議論の余地がなってしまった分野。

理論上は明確である価値評価と所得区分を実務に落とし込むと困難さを伴い、全体として体系的な説明力を失う。このような実務上の困難さから今後の金融商品課税は理論としてはちぐはぐな取扱いが増えるであろうと予想。取扱いが確定するまでの間、その隙間に租税回避スキームが存在するものなのかもしれない。

水7 企業財務報告上級 (川村義則先生)

今週のテーマは、減損会計 (続編)。

なぜ減損テストと減損額算定には異なる基準を用いるのか、会計手続だけではわからない減損会計のファイナンス/経済学的意味を解説。

実現(実績)と未実現(評価)の境目は、常に Finance と Accounting が問題になる。したがって一方に偏ることなく両方をよく理解していなければならない。

金6 マーケットメカニズムとトレーダー行動 (宇野淳先生)

今週のテーマは、前回ゲームのレビュー。

前々回の反省を活かし、前回のゲームはなかなかよい成績を収めたので、そのポイントを発表。マーケットの動きに先行し過ぎて利幅を取れないことがあったが、それは情報伝達スピードの違いに起因していたとレビューで判明。他のプレイヤーの成功談・失敗談を聞き、多くを参考にする。月並みではあるが「投資の成否は『事前予想からの乖離に対する適応性』に大きく依存する」という示唆を実感として得る。

金7 M&A (新田喜男先生/古川英一先生)

今週のテーマは、M&Aのプロセス。

デューディリジェンスとスキームがテーマ。事業譲渡・吸収合併・分割吸収など先学期の会社法Aにオーバーラップする。会計基準・企業連結税制・会社法M&A関連規制が今年度大幅に変わった/変わるため、実務が追いつかないとのこと。

「実務が追いつかない」との言葉が「新しい分野である」すなわち「商機あり」と聞こえる。M&Aと聞くと真っ先にバリュエーションが思い浮かぶが、このデューディリジェンスやスキームこそ (アドバイザリー側にとっての) M&Aの醍醐味だと思う。「利益は見積、キャッシュフローこそ事実」と Finance は Accounting を見下すが、この分野においては「バリュエーションは見積、デューディリジェンスやスキームこそ実のある事実」である。