今週の授業について (11/28 〜 12/03)

月6 税務会計A (勝島敏明先生)

今週のテーマは、税務収益会計。

税務の益金計上認識基準は財務会計の収益計上認識基準に較べ煩雑だと思っていたが、意外とシンプルなルールになっていると認識した。

月7 戦略的思考とコミュニケーション (川本裕子先生)

今週のテーマは、数量的把握の基礎と戦略的リーダーシップ。

数量的把握は、いわば分析的手続 Analytical Procedure。企業経営に関する数はときどき使うが、エコノミストではないので世帯数や新聞購買数までは抑えていない...

水6 国際会計トピックス (高橋健一先生)

今週のテーマは、日本企業の海外投資家向け情報開示。

海外投資家向け情報開示から見えてくる会計制度の国際比較論がとてもおもしろい。必ずしも US GAAPIFRS/IAS を信奉しているわけではないが、会計概念規定など根幹を客観的に評価するとやはり JP GAAP は遅れていると認識させられる。

保険会社の再保険取引は、US GAAP では両建て表示、JP GAAP ではネット表示が求められるとのこと。US GAAP は「リスクやソルベンシーは貸借で異なる」という本質を反映させる。

水7 応用コーポレート・ファイナンス (新井富雄先生)

今週のテーマは、MM 理論とその後続研究。

MM 理論は Tax Shield を考慮した研究成果がほとんど紹介されない点が不満であり、逆に研究テーマが設定できるかもと考えていたが、実は DeAngelo/Masulis [1980], Titman/Wessles [1988], Mackie-Mason [1990], Fama/French [1998], Engel/Erickson/Maydew [1999], Graham [1996, 1999, 2000] などの後続研究が存在し、MM 理論に比べて大した成果がなかったということを知ってようやく腑に落ちた。

金6 ミクロ経済学の基礎 (蟻川靖浩先生)

今週のテーマは、競争と短期・長期均衡。

資本主義においては競争は避けられず、あらゆる消費財コモディティ化を運命づけられている。営業部門であろうと生産部門であろうと企業人にとって、ミクロ経済学管理会計マーケティングは常識である。

金7 事業再生 (田作朋雄先生)

今週のテーマは、バリュエーションと取引費用。

各論に入っているはずなのに総論の話が多い。私にとっては、社会学的・経済学的示唆が得られるのでおもしろく、また各分野での習得知識が統合されるので有益なのだが。

「資金繰りには動産担保、プロジェクト投資にこそ不動産担保を充てるべきなのに、日本の銀行は不動産鑑定による市場価値を担保価値と思い込み、不動産担保融資の本質を誤ったために不良債権を抱えた。経済学的意味を考慮せずに形式論の法解釈で論理構成をすると、経済合理性のない取引をするハメに陥る。」というのが、今回の Economic Insight。

動産担保・不動産担保の論点を会計学的に解釈すれば、流動・固定のリスクを貸借でバランスさせるべきだということ。これは今週の高橋先生「国際会計トピックス」における保険会社再保険のリスク・バランスに通じる。より詳細レベルのトピックを付け加える *1 ならば、受取手形裏書の仕訳方法も ①受取手形の反対仕訳、②受取手形と裏書手形の両建て、③裏書保証債務の別建て仕訳、④裏書保証債務の時価評価仕訳 と4法あり、この順にリスク・バランスをより開示する。これらから得られるのは「債権と債務のリスクが異なるという事実は忘れられがちである」という教訓。

土3 アセット・プライシング (池田昌幸先生)

今週のテーマは、資産価格理論の基本方程式。

リスク中立確率や SDF からと、効用最大化からの2面で資産価格理論の基本方程式を導出する。前者は野口先生「ファイナンスの基礎」の復習だが、行列表記になってポイントが理解しやすい。後者は蟻川先生「ミクロ経済学(の基礎)」に通じる内容で、主観的割引率の根拠概念を説明するものと解した。

土5 ベンチャーキャピタル・マネジメント (秦信行先生)

今週のテーマは、バリュエーション。

株式分割企業価値が変わるのは笑い話、というかフレーミング理論か。

来週締切の課題がでる。

*1:受取手形裏書の仕訳に言及するのは、この日たまたま顧客の手形帳票を再設計したため。