米国公認会計士 (USCPA) ライセンス取得

Board of Accountancy, State of Delaware のデータベースを確認したところ、5/21 に開催された定例ミーティングで USCPA のライセンスが承認されたようだ。登録番号は 0002424。

試験勉強を始めた頃はもちろん、合格した頃でさえ、自分がライセンス取得するとも監査法人に勤めるとも考えていなかった。サーティフィケート取得が上限だと長らく考えていた。サーティフィケート取得した頃には、多くのサーティフィケート保有者と同様に、名刺に米国公認会計士と入れたいと考えていた。

サーティフィケート保有者 (ライセンス非保有者) が米国公認会計士と名乗ることは、しばしば論争を呼び起こす *1 *2。また、監査法人での実務経験なしでライセンス申請・保有することも、しばしば論争を呼ぶところである。

さて、会計よりもファイナンスを主業務としている今となっては別に名刺に入れなくてもよいのだが、米国公認会計士と名乗のるに必要な条件というものが見えてきたような気がする。

調書 (クライアントへの報告書) を書くのは大変難しい。それが事実のみ報告するスタイルのものだったとしても。なぜなら、細心の注意をもって事実と意見を峻別することはもちろん、事実と思われることから思い違い、認識違いという瑕疵を排除しなければならないからだ。意見表明は、事実報告に意見を加え、意見の内容が高い確度で正確だと合理的に推認できることまで暗に示さなければならないので、もっと難しくなる。保証 *3 になると、さらに意見の内容を不特定多数に保証することになるので、もっとずっと難しくなる。対価をとって報告をするというのは非常に重い責任を伴う仕事である。

その責任の重さを知る者にのみ米国公認会計士と名乗る資格があるのではないかと考えるようになった。ある州では一般事業会社での業務経験に対してもライセンスを発行するらしい。ライセンス取得に監査経験が必要だとは思わないが、最低限、報告責任の重さを実感する業務経験が必要ではないかと思う。一般事業会社での業務経験でふさわしいのは株主に対して説明責任を負うIR業務だけではないだろうか。

*1:サーティフィケートは非活動ライセンスと位置づけられる。

*2:「非活動だから NG」とする立場 (多くの州) と「ライセンスの一形態だから (限定的に) OK」とする立場 (Illinois, New Hampshire etc.) がある。

*3:レビューは消極的保証業務、監査は積極的保証業務である。