Self Ground Training for Instrument Rating

標準旋回率 Standard Rate of Turn

諸元はいろいろ操作してみて探るのではなく、あらかじめ身に着けておくことが計器飛行には大事と前回のシミュレーション訓練で自覚する。そこで Holding Procedure などでいずれ必要になる標準旋回 Standard-Rate Turn についてあらかじめ自己学習しておく。

Standard-Rate Turn は、2 分で 360°旋回する。そのための Bank 角は速度 A/S で決まる。ここまでは書籍でもサイトでもよく解説されている (参考) が、なぜそうなるかという解説は見当たらない。そこで、ここではこの Bank 角を導出する。


高度を維持したまま旋回するとき、飛行機は等速円運動となる。等速円運動のとき、向心加速度 a \quad {\small (m/s^2)} は 速度 v \quad {\small (m/s)} と角速度 \omega \quad {\small (rad/s)} を用いて \displaystyle a = v \cdot \omega (式①) と表せる。飛行機の重量を m、揚力を F とすると、Bank 角を \theta としたときの向心力は F \cdot sin \theta = ma (式②) となる一方、揚力の鉛直方向成分は F \cdot cos \theta となり、高度維持の場合はこれが重力と釣り合うことから F \cdot cos \theta = mg (式③) *1となる。すると、式②③から向心加速度は a= g \cdot tan \theta (式④) となる。F, m はキャンセルアウトし、向心加速度には影響しない。式①④より、tan \theta = \frac{v \cdot \omega}{g} となるため、Bank 角 \theta = arctan(\frac{v \cdot \omega}{g}) となり、速度と角速度 (旋回率) のみによって決まることがわかる。ということで SI 系からの単位変換をすると実際の Bank 角は下表のとおりとなる。

Standard-Rate Turn の Thumb of Rule としては、Bank 角は A/S を 10 で割って 1.5 を掛ける。また、転針所要時間 (秒) は角度を 3 で割る (3° = 1 秒)。Half-Standard Rate の場合は、それぞれの半分なり倍としてよい。


Bank 角と転針所要時間を計算したことで、Roll In / Out のタイミングを計算したくなるが、微積分が少し必要になるため、これは次回に繰越し。

Turn Rate & Bank

Air Speed (kt) Bank Angle (degree)
Double-Standard Rate Standard Rate     Half-Standard Rate  

40

12.4

6.3

3.1

50

15.4

7.8

3.9

60

18.2

9.4

4.7

70

21.0

10.9

5.5

80

23.7

12.4

6.3

90

26.3

13.9

7.0

100

28.8

15.4

7.8

110

31.1

16.8

8.6

120

33.4

18.2

9.4

130

35.5

19.7

10.1

140

37.6

21.0

10.9

150

39.5

22.4

11.6

160

41.3

23.7

12.4

170

43.0

25.0

13.1

180

44.7

26.3

13.9

190

46.2

27.6

14.6

200

47.7

28.8

15.4

250

53.9

34.5

18.9

300

58.8

39.5

22.4

350

62.5

43.9

25.7

400

65.5

47.7

28.8

*1:重力加速度 g = 9.80665 \quad {\small (m/s^2)}