今週の授業について (4/18 〜 4/23)

月6 証券取引法 (岸田雅雄先生)

証券取引法の講義。淡々と進む講義は今学期履修科目で最もアカデミックなスタイル。とはいえ、ニッポン放送の買収劇など時事トピックに触れずに進むわけもなく、それなりに面白い。今週のテーマは市場や取引の定義。

月7 租税法 (渡辺裕泰先生)

租税の基礎に関する講義。設計者の視点から語られる税制は非常におもしろい。さすが元国税庁長官。立法時の裏話も聞ける貴重な授業である。今週のテーマは租税概論。質問してみて、以前に書いた二重課税 id:Crayon:20041223 について一部誤りがあることに気づく。後日修正予定。

水6 インベストメント・バンキング (村山正和先生ほか)

投資銀行業務についての講義・ケーススタディ。今学期、唯一気が重い授業。他の授業は得意な数学・会計学か、それなりに独学していた会社関連法なので不都合はないが、この授業は体系的な理論ではないので理解しづらく、高度な雑学「金融トリビア」なので門外漢にはかなりきつい。今週のテーマは為替なので、個人投資家として外貨預金や FX Margin Trade のポジションを持っている私にもまだ理解できるが、まわりの学生はプロとしてサービスを売る側である ... 先行きは大いに不安。おまけに今週は課題まで出されて苦痛の極み。

水7 国際取引課税 (渡辺裕泰先生)

国際課税の講義。今週のテーマは国際課税の概要。まだ概要だが、S-Corporation, LLP, LLC, PE, 移転価格税制, 過小資本税制、タックスヘイブン対策税制など期待していたビークルや用語が多々出てくる。独学の限界を感じていた領域だけに、体系的に学べる喜びを強く感じる授業のひとつ。

金6 証券化 (川口有一郎先生ほか)

証券化の講義。今週のテーマは、証券化の概要およびファイナンス的な意味づけ。証券化スキームの税務・会計面に興味をそそられ履修したが、法務面・ファイナンス面・分析面でも面白く感じる。あらゆる分野の統合的な理解が試される科目。

金7 ミクロ経済学 (蟻川靖浩先生)

現代ミクロ経済学の講義。需給曲線分析などのいわゆる古典ミクロ経済学ではなく、ゲーム理論や契約理論がテーマ。意思決定分析という意味で、MBA らしい授業のひとつ。発展形ゲームはオセロや将棋などと同じ。かつての専攻、情報科学の隣接分野なので、ツリー探索、min-max 法、水平線効果、Heuristic Search、局所探索から抜け出すための遺伝的アルゴリズム、計算量理論などのなつかしいトピックを思い出す。今週のテーマは、戦略形ゲーム、支配戦略、ナッシュ均衡

土3 ファイナンスの基礎 (野口悠紀雄先生)

ファイナンス基礎理論の講義。これもまた意思決定分析という意味で MBA らしい授業。野口先生は工学部出身なので、本質に忠実に物事を論じ、その意味や価値をビシッと表現する。理系出身者には非常に理解しやすい。先週クラスの学生に否決された「All English で授業しよう」という先生の提案が今週もひっくり返らず残念。せっかく MBA コースなんだからひとつくらい All English でもいいと思う。今週のテーマは分散投資。要旨は下記のとおり。

投資判断は期待収益だけではできない。標準偏差と併せて行う。
同じ期待収益でも人々は標準偏差 (=不確実性・リスク) の低い戦略を選択する。
同じ期待収益でありながら、リスク回避を志向する原因は何か。

前段はまあ常識。しかし、この答えが限界効用逓減則にあると知って目から鱗。昨日の授業「証券化」の「オリジネータがトランチングするアービトラージ・スプレッドは何か」というテーマと数学的には同じ構造*1の分析である。

土4 エクイティ・インベストメント (米澤康博先生)

投資理論の講義。今週のテーマはポートフォリオ理論。Efficient Frontier と資本配分線くらいは知っていたが、効用の無差別曲線、ポートフォリオ選択の分離定理と、ミクロ経済学など隣接分野と絡んで発展していく分析に、体系的な学習が大事だと改めて気づく。管理会計ミクロ経済学の融合分析から企業戦略の本質を教えてくれるこの本を思い出す。

土6 法学補講

法学の補習。今週のテーマは法学序説。法体系の整理ができ、普段疑問に思っていることの多くが解決される。「英米法は判例法主義のため、アメリカ(のロースクール)で学ぶとケース・スタディが中心になる」という説明を聞いて、アメリカの「とりあえず訴えてみる文化」」「とりあえず起業してみる文化」「MBA までケース・スタディ中心」という特徴 *2 はすべてこれに起因しているのかと思いをめぐらせてみる。

*1:上に凸な効用関数上の2点の内分点は効用関数を下回る

*2:「とりあえずやってみれば何か見えてくるだろう」という帰納的アプローチ