今週の授業について (10/31 〜 11/05)

月6 税務会計A (勝島敏明先生)

今週のテーマは、納税義務、納税手続。

月7 戦略的思考とコミュニケーション (川本裕子先生)

今週のテーマは、So What, Why So。

水6 国際会計トピックス (高橋健一先生)

今週のテーマは、国際会計基準 IAS/IFRSEU の証券発行目論見書指令。

IAS/IFRS は USGAAP に較べて基準書の文書量が少ないと思っていたら、やはり明文化しているのは主に会計原則で、解釈規定はあまり明文化していないようだ。マグナ・カルタのように不文律・判例主義で運用されるのだろうか。業種によって解釈が異なったり、国によって積み重ねる判例が異なったりして、比較可能性 Comparability に疑義が生じないか疑問。

水7 応用コーポレート・ファイナンス (新井富雄先生)

今週のテーマは、M&A

1960 年代のアメリカは JFK の政策により水平・垂直統合ができず、したがってコングロマリットが多かったとのこと。M&Aのために時価総額経営がはやり、EPS や ROE 維持のための益出しに持分プーリング法が悪用された。ファイナンスや会計は政治や歴史と不可分である *1 。ひとつ考察を加えるなら、持分プーリング法で簿価・時価の差額を悪用されたことの反省から、アメリカでは 1970 年代にキャッシュフロー計算書が法定帳票になった。

いままでの授業で発言していたせいか「今日は意見しないんですか?」と聞かれた。先生が質問したり意見を求めたりしても誰も答えず、流れるような授業進行が途切れるのはクラス全体の損失だと思うから発言しているのだが。全体最適のための発言がめだちたいがための利己行為だと誤解されるのなら、クラス全体の利得が下がろうとも私個人の利得を下げない方法を今後は採ろうと考えるのは合理的な行動戦略である。

金6 ミクロ経済学の基礎 (蟻川靖浩先生)

今週のテーマは、効用最大化問題と比較静学。

来週締切の課題が出る。

金7 事業再生 (田作朋雄先生)

今週のテーマは、日米倒産処理の比較、産業再生機構 (続編)、ゲーム理論

90年代日本の不良債権問題がナッシュ均衡であるという最近の考察は、「市場放任主義 Laisser Faire は本当に正しく機能するか」という経済学の古来からのテーマが、観測系内からしか解を出せない古典的経済学での議論を超え、メカニズム・デザインの有効性についてメタな観点からゲーム理論で議論されつつあることを示している。

ナッシュ均衡はコンピュータにおける排他制御のデッド・ロックに似ている。いずれコンピュータ科学が経済問題への解を示す道具となる可能性を予感する。

土3 アセット・プライシング (池田昌幸先生)

今週のテーマは、課題の解説、指数型効用関数の特性、MV分析の十分条件、歪度と尖度。

今回の課題は前回に較べると難しくなかったが、自主勉強会で解説するために幅広く復習し、ヤコビアン, ラプラス変換, ラプラシアンまで調べてしまった。解析学には高校時代にとりつかれたが、経済学での応用が視野に入るとなおさらおもしろく感じる。数学 (代数学) のめざすところは一重にこの解析学の頂上「ラプラス変換」であると思う。多くの人がこの頂上からの眺めを知らず、5合目辺りで挫折し、数学に恨み言を言うのは、目指すところが教えられず、方向が見えていないからだ。やみくもに登らせるより前にするべきことがある。

土5 ベンチャーキャピタル・マネジメント (秦信行先生)

今週のテーマは、VC投資の数量的側面。

*1:取得原価主義か時価主義かなど、多くの会計学上の論点には政治や歴史との強い関連性がある。