木6 数理ファイナンス (中里大輔先生)
Girsanov の定理の簡易証明、先物と先渡 (の導入部分)。
先物と先渡しは区別がつかないほど似た価格になるが、理論的にはまったく異なる。表面からは見えない理論世界を覗く感覚は、M理論 *1 を紐解く様に似ているか。
マルチファクター・モデルの BARRA に話が及ぶと、同じ教室で受講した竹原先生のインベストメント・トピックスを思い出す。
木7 リアルオプション (川口有一郎先生/長谷川専先生/山口浩先生)
リアルオプション評価の実際について。いよいよリアルオプションがオプションであることを実感するフェーズに入る。
オプション評価で一番難しいのは割引金利・ボラティリティの設定。金利は構造を持っている上、オプションでは選択 (= オプション) 自体によってその構造内で状態遷移していく。構造がある状態におけるオプションの価値を決め、その価値が次の状態を決定する相互作用系。詳細に踏み込めば数理ファイナンスの世界が見えてくる。
リアルオプションでのインプリケーションは、金利構造をモデル化しなくても類似投資対象観測によるポートフォリオ・レプリケーションで価格付けできるということ。
リアルオプションと数理ファイナンスは、事業系ファイナンスと金融系ファイナンスの違いがありながら、実は、相関が非常に高い。事業系ファイナンスでは「割引金利が定まれば時価が決まる、意思決定できる」という域を出ず、その割引金利がどう決まるかという解を与えない。事業系ファイナンスばかりの受講では、ファイナンスの応用ばかりで基礎を知らないということになるが、このリアルオプションはそのつなぎになる。