「相関と因果」考

こへださんがご指摘されているとおり、「相関と因果というものが一般には正しく理解されていない」とこの手のニュースを目にするたびいつも思う。

携帯電話の所持率は、検挙されたことのある少年が72%、ない少年は57%だった。高校生の所持率は90%前後で差はなかったが、中学生では検挙されたことのある少年がない少年よりも男子で32ポイント、女子で26ポイント高かった。1日に使う回数は、検挙されたことのある少年は7.7回、ない少年は2.7回だった。

同庁は「携帯電話を持つから非行につながったとはただちには言えないが、このような調査結果を広く国民に知ってもらい、今後の非行少年問題に役立てたい」としている。

http://www.asahi.com/national/update/0624/028.html

このニュースで「非行と携帯電話所持率の間に強い相関があるようだ」とはいえる。だが、A「携帯電話所持」 → B「非行」という因果はまったくいえない。B「非行」 → A「携帯電話所持」*1かもしれないし、あるいはAもBも何か別の要因Cの結果*2かもしれない。

因果は相関の特殊な例。相関だから因果だという*3のは間違いだし、相関を単なる偶然と切り捨てる*4のも間違い。

今回は相関を因果とまでは結論づけていないが、警察といえどもときどき相関や統計を誤用してミスリードすることが見受けられる。だましのテクニックとしてはかなり有効なのだろう。

*1:命題の逆

*2:C → A かつ C → B という関係 : AB間に因果はないが、関連性が出てくるであろうことは想像に難くない

*3:「携帯を持ったら非行だ」と決めつける親の立場

*4:「そんなの偶然だよっ」と携帯をねだる子供の立場